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「ようこそ、
金髪の男_グルッペンが言った。其の目は、何処か新しい玩具を見つけた子供のようにきらりと光っていた。太宰よりもずっと子供のようではないか、とシャオロンは思わず思ってしまう。
「…やぁ、貴方が国のトップさんだね?御目に掛かれて嬉しい限りだよ。」
馴れ馴れしすぎる態度で、にこりと笑みを浮かべながら言う太宰。総統であるグルッペンの見張り兼書記長のトントンは、無礼な態度に顔を歪める。しかし、太宰は其れすらも面白いと言わんばかりの表情をするものだから、総統室の空気は有り得ない程に冷えきって居た。
「私の名はグルッペン。この国_W国の総統を勤めている。」
貴君は?と続けたグルッペンに、太宰は挑発するように言った。
「…やだなぁ。もう既に其所の
「……ちょっと無礼が過ぎるんとちゃうか?」
次の瞬間、スンッと風を切る音がした。トントンだ。其の手には、手入れがしっかりとされている長剣が握られて居り、其れは太宰の首を確実に捉えていた。
「…おや、此れなら私もしねてしまうかもしれないねぇ。……君なんか、私を殺すのに最適なんじゃあないかい?其の剣を私の首に下ろしてみ
トントンを写した太宰の瞳には光など無かった。太宰の雰囲気そのものが、ガラリと変わったのだ。口にされた言葉には、懇願と命令が含まれている。其れは、決して冗談等では無かった。
「…君ならきっと、上手に殺してくれるのだろうね。やっと、この酸化する日々から救われるんだろう。もう私が川に飛び込むことも、縄で首を吊ることも無くなる。」
_それって、素晴らしいことだと思わないかい?
そう続ける太宰に、シャオロンが震える声で言う。
「太宰…!、」
しかし、其の声は太宰には聞こえて居ないようで在り、太宰はまだ話を続けるのだ。
「頼むよ。
やけに大人びた表情が、泣き出す前の子供のような顔に変わる。
さあ、と続ける太宰に、剣を突きつけていたトントンはその剣を腰に戻した。
「…なんだ、殺らないの。」
心底つまらない、といった声色で在った。太宰の表情は先程よりも少し暗く見えた。其れに、太宰の瞳のハイライトは、未だに消えた侭だった。
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あずきいろ
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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時