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「____あ、起きたんだ…っ!?」
しんぺい神が、医務室へと入ってきた。ベランダから室内へと再び戻ってきた太宰に声を掛けるしんぺい神で在ったが、いきなり頬を銃弾が掠める。
「__ねぇ、私、」
太宰は、手に持っている銃をぐるりと回す。其れは様にはなっているものの、其の場の空気を凍らせるには十分で在った。
太宰の目は、真っ黒。何処を見ているのかも解らない。ただ、無機質な声で言葉を紡ぐだけ。しかし、右手にはぐしゃぐしゃになった外交資料書が握られて在る為に、其れを読んだことはしんぺい神にも理解が出来た。
「私、馬鹿だったのだよ。」
何かを確信した言葉で在った。太宰の頬は赤みを帯びており、其れこそ未だ少し熱の引かない状態だ。____少なくとも、37度は優に越えているで在ろう。其れで在りながら、太宰の髪はびしゃびしゃに濡れていた。ベランダで、雨に濡れていたからだ。しんぺい神は、たらりと頬を伝う冷や汗に苦笑を溢しつつ、耳についた秘密機種のボタンを押した。
「____君達を、信じようと思った私が間違いだった。」
アイスクリィムは美味しかった。次にロボロと行く約束をした城下のアイスクリィムも楽しみにしていた。甘やかしてくれる幹部に、関わりは短い期間では在るのに信頼を寄せていた。きっと、全て自分の勘違いで、織田作之助を殺した第三者は彼らではないのだと信じていた。____其れなのに。
「___死んでよ、織田作の為に。」
太宰は、へらりと笑ってから確かに怒りを込めた声で呟く。其れは、しんぺい神にも聞こえた。あの時とは違う、ちゃんとした声で。
「異能力_「
織田作之助の能力_"
太宰は、本気で在った。
織田がこんなことをして喜ぶだなんて思っては居ない。人を殺す者に小説を書く資格はないと、小説家を目指していた彼は言った。彼は、人殺しが嫌いだった。其れを、太宰は痛いくらいに理解している。
____其れでも。
其れでも、許せなかった。
あの時、もっと早く助けに来れてたのではないかと何度も自分を憎み、恨み、
____其れはやがて、第三者へと向けられた。
「____ほら、はやく、」
バンバンと、弾丸が放たれた_。
ラッキーカラー
あずきいろ
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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時