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「…此処が、俺達の城やで。」
シャオロンが、
「…へぇ、」
シャオロンには、月明かりに照らされた太宰の目に光の無いように感じられた。真っ暗な、何を考えて居るのかをも計り知れない、壮大な
ゆっくりと国旗が揺れ、ひゅうと風が吹く。シャオロンは太宰を助けるときに濡れてしまったが為に、ひとつくしゃみを溢した。
ぶるりと身震いをするシャオロンとは裏腹に、太宰は平気そうな顔で、少しだけ古びた城を眺めていた。
「…と、シャオロンやん。おかえりぃ。」
寒っ、と自身の腕をさすって居たシャオロンに声が掛かる。シャオロンと太宰は、声の主に視線を移す。
「ん、只今。そう言えば今日はゾムが城内の見回りやったな。」
深々とパーカーを被り、そのパーカーの下から翡翠の目をぎらりと光らせた彼_ゾムは、せやで、と短く返答してから視線を太宰に移した。
太宰は、もう既にゾムに興味を無くしていて、「この高さなら飛び降りたらしねるかも…!早速検証しなくては…!!」と、城からの景色を死へと繋げようとしていた。
「…此奴が、グルッペンが言っとった"面白い奴"?」
ぱちり。シャオロンに確認をとるゾムと、太宰の目が合った。
「…っ、」
「…、やぁ、
ゾムは、太宰を見て言葉を詰まらせた。ピリッと、二人の間にだけ、冷たい空気が流れているような気さえしてくる。
確かに感じとることが出来る、僅かな太宰の殺気。それは、「警戒心」を理由とするようなモノでは無い。
____そう、ゾムには感じられた。
やぁ、と口を開いた太宰は、誰にでも向けられるような、貼り付けた仮面のように薄っぺらい笑顔を浮かべ、そしてひらりと手を振った。
「…とりあえず、お前は俺についてきぃや。」
ゾムと太宰との間に走った怪しい空気。其れを読み取ったシャオロンは、太宰にそう告げる。
「…嗚呼。解ったよ。」
了承の言葉で在ったのに、太宰の言葉は酷く冷たく、無機質であった。
……此れは、ヤバい奴を助けてしまったのかもしれない。
シャオロンはそんなことを思い乍、長い長い廊下を急いだ。
ラッキーカラー
あずきいろ
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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時