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「っ、心配になって来てみたら此れやし…、」
太宰は、ゆっくりと視線を上げた。アメジストと目が合う。其の隣には、色素の薄い目も在った。
「全くですよ…っ、」
二人がかりで、必死に太宰を引くものだから、いとも簡単に太宰はベランダへと戻されてしまった。残念そうな顔をする太宰は、「また失敗だ、」と呟く。
太宰の手に、アメジストの瞳をした＿ショッピの手が重なる。太宰の手はやはり冷たい。其れで置いて、太宰の腕はカタカタと震えている。
死ぬことが怖いのでは無い。死ねなかったことが、太宰にとっては恐怖で在った。救いのない世界から、救われようとすることすら叶わない。其れが、太宰には何よりも辛くて、泣きたくなる程に苦しいものだった。
「ほら、中に入りますよ。」
「…。」
ショッピが声を掛けるものの、太宰は其の場から離れる気は無いのか、立つような素振りは見せなかった。其れは、面倒な態度を取れば、自身を見逃してくれるのでは無いかという太宰の馬鹿げた考え故の行動で在った。
「…意地っ張りですね。」
優しく、エーミールに髪を撫でられる。矢張慣れては居ないらしく、目を細める太宰は猫のようで在る。
「じゃあ、無理矢理失礼しますね。」
ショッピの声が聞こえたと思った後、直ぐに太宰の身体はふわりと宙に浮いた。ショッピの整った顔が、太宰の直ぐ側にある。所謂横抱きで在る。太宰に抵抗の意思は無いようで在った。只何かを見つめているだけ。
太宰の身体は軽かった。しんぺい神に頼んで、近い内に健康診断を行うべきではないかと思って仕舞う程に。太宰を再びベッドの上に座らせ、其れからショッピは慣れない手付きで太宰の頭を撫でる。エーミールは、一度食堂で朝食を作るトントンと、其所で会話を楽しんでいるしんぺい神やロボロに今の出来事を伝えに行った。
「無理矢理持ち上げてすみませんでした。俺はショッピって言います。」
貴方は？と続けたショッピに、太宰は小さな声で返す。
「太宰Aだよ。」
ショッピは、やっと口を開いた太宰に優しく微笑みかける。普段、こんな笑みを見せることは少ないショッピは、もしも今此処に金髪の先輩が居ればきっと喧しかっただろうと心の奥で思う。
「撫でられるの、好きなんですか？」
先程から頭を撫でていた手を離せば、少し名残惜しそうな表情を見せる太宰に、ショッピは問う。
「…嫌いでは無いね。」
そう呟いた太宰は、何かを懐かしむような目をした。
ラッキーカラー
あずきいろ
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めい - 好きです！もっと評価されるべき！次の更新待ってます！ (2020年4月5日 21時) (
レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します！文スト？を知らない私でも物語にのめり込めました！更新頑張ってください！コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景？が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい！(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました！文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです！！頑張ってください！応援してます！ (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…！！」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください！応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙藤 | 作成日時：2020年3月27日 2時
