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「…あれ?わたし、」
きょとんとした表情をする太宰に、しんぺい神は優しい笑みを浮かべる。ふわりとした髪を撫でながら、光を戻し、焦点が合っている目を見詰め、しんぺい神はゆっくりと言葉を口にする。
「俺はしんぺい神。この国の軍医を勤めてるんだけど…、体調の方は大丈夫、?」
「ぁ、大丈夫、だよ。」
大丈夫と言う太宰の顔色は矢張あまり良く無く、にこりと
「大丈夫じゃ無いでしょ。そんな顔色でよく大丈夫なんて言えたよ。」
しんぺい神が太宰の髪をわしゃわしゃと撫で続ける。慣れていないのか、目を細める太宰には可愛さすらも感じられる。
「神、温かいお茶持ってきたで。」
不意に、シャオロンが食堂へ戻って来た。手には、湯気をあげるお茶が入ったマグカップが握られている。
太宰の体温は、其れこそ低体温を疑う程に低い。温かいお茶をシャオロンから受け取った太宰は、ふーふーと息を吹き掛けながら一口飲む。
「神!!毛布持ってきたで!」
小さめの毛布を抱えて食堂に入ってきたゾムに、しんぺい神は有難う、と返す。「ええんやで!」と笑みを浮かべるゾムにも、子供らしさが感じられた。
ゾムから受け取った毛布を太宰の肩に掛け、ゆっくりと背中を撫でてやる。此れは、幼い子供の睡眠を促すときの方法で在る。
「…っ、」
安心したのか、ゆっくりとその瞼を下ろす太宰。其の身体の重みがしんぺい神に伝わり、太宰が眠ったことを察することができた。
「医務室の暖房付けて来たで〜。」
鬱がしんぺい神に言った。眠った太宰を優しく抱き上げたしんぺい神は、食堂を後にする。
____
「…あの子、何が在ったん?いきなり様子が可笑しくなったけど…」
ロボロが、食堂に再び戻ってきたしんぺい神に問う。
「ん〜…、
「…とりあえず、次彼奴が起きたときに詳しく聞くべきやな…。」
コネシマがぼそりと呟いた。其れに対し、しんぺい神は言う。
「…あの子は、
医務室で、其れこそ死人のような表情で眠っているで在ろう太宰の姿を思い浮かべ、しんぺい神は言った。
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ラッキーカラー
あずきいろ
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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時