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「トントンさん!!タオル持ってきました!!」
チーノがトントンに声を掛ける。温かいタオルがトントンに渡り、其の侭其れは太宰の手へと渡った。
「いきなり如何したんや此奴…、」
煙草を咥え、太宰を見据えた男_鬱が言った。明らかに尋常では無い様子の太宰に、若干恐怖の感情を感じ取ることが出来る。
「大先生、様子可笑しい奴の目の前で煙草はやめろ。」
「…そんな怖い顔しやんでやぁ、」
グルッペンがぎらりと目を光らせながら鬱を睨む。冷や汗をかきながらも煙草を仕舞う鬱。其れ程に、今のグルッペンの顔は恐ろしかった。
「っ、ぁ、やだ、」
温かいタオルを首筋に当ててやりながら、軍医で在るしんぺい神を待つ。何の保証も無いくせに、「大丈夫」の三文字を繰り返すことしか出来ない幹部達は、珍しく相当焦っているようで在った。
「しんぺいさん連れて来ました!!」
ショッピの声が食堂に響き、待ち望んだ軍医ことしんぺい神が姿を現した。
「
走って来てくれたのか、しんぺい神の額にはうっすらと汗が滲んでいた。
「今日、シャオロンが連れてきた
ずっと黙っていたロボロがしんぺい神に声を掛けた。
「様子が可笑しい…?ちょっと見せて、」
相変わらず太宰との目線が合うことはない。しんぺい神は、太宰の自身を抱き締める腕にゆっくりと触れ、其れからその腕の絡みを解こうとする。
「はーい、大丈夫だよ。」
届いて居るのかも解らない言葉では在るが、しんぺい神は太宰に声を掛けるのをやめない。
「トントンは其の侭、この子の背中を撫でててね。シャオロン、温かいお茶淹れて来てくれる?ゾム、毛布を一枚持ってきて。大先生は、ショッピくんとチーノくんと一緒に医務室の暖房付けて来て。」
しんぺい神の言葉を耳にし、頼まれたメンバーが
「…ぁ、」
背中を撫でてやりながらも言葉を投げ掛けて居れば、少しずつ太宰は瞳に光を戻し始めた。自身が何故多くの幹部に囲まれているのか。今、自身に何が在ったのかが解らない、といったような顔をする彼の髪を、しんぺい神は優しく撫でた。
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ラッキーカラー
あずきいろ
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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時