検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,685 hit

真新しい制服 ページ1

桜が舞う4月、入学式。


憂鬱な気分にも仮面をかぶって


やり過ごそうと決めている。


小学校、中学校とずっと地元で育って


高校は、新しい自分を見つけたい!と


知り合いの誰もいない県外の高校を受験するつもりでいたのに。


意気込んでいた去年の10月。


両親の営んでいた喫茶店が閉店することになった。


無理を言ってでも志望校に行くには、


動機が不純だったし


地元は嫌だって誰にも言わなかった。


ある日の帰り道


紫耀「A、どこの高校行くの?」


「……北高。」


紫耀「まじ?一緒じゃん!」


私の2、3歩先を歩きながら紫耀が満面の笑みで振り返る。


紫耀がどこの高校に行くかこの時初めて知ったけど


「そうだね。」


素っ気なく答えた。


紫耀「よし!じゃあ俺の高校生活も安泰だ!」


「え?……ま…さか…だよね?」


何を隠そう家がお隣同士なことをいいことに


小学校高学年から今まで


担任の先生から直々に私が「紫耀を起こす係」


と任命されていた。


初めは冗談かと思ってたけど、


先生と紫耀のおばさんは本気だった。


この人ホントに朝起きない。


紫耀はお母さんと二人暮らしで


お母さんが早目に仕事に行っちゃうから


放っておくと夕方に起きてくる。


一度、私が寝坊して起こすの忘れた時は


放課後まで連絡取れなかった。


心配して様子を見にくと


おはよう、っておばさんの用意してくれた朝ごはん食べてた。


「もう!やっと解放されると思ってたのに!」


紫耀「はあ?!解放ってなに?だって!…お前は、その、俺の…」


「俺の?なによ。」


紫耀「俺の!…」


「あのね?"紫耀を起こす係"って言いたいんだろうけど、もう高校生になるんだよ?私たち。」


紫耀「…わかってるよ。…いや、そうじゃなくてさ……」


?


なんだかゴニョゴニョしている紫耀を不思議に思ってるうちに家に着いた。


「じゃね、紫耀。」


紫耀「…お、おう、じゃな。」


そんな日常。


−−−−−−−−−−

今日は、新しい制服、桜の下。


はぁ


大きなため息をついてみる。


なんとなくわかってる。


同じ日常がまた続くんだろうなってことは。


見上げた桜の木と空の


綺麗なコントラストがじんわりと目に染み込んだ気がした。


綺麗…


『きれいだね。』


驚いて振り返ると、


桜の花の妖精みたいな髪色のコが


後ろに手を組んで微笑んでた。

桜の木の下→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.0/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Satori | 作成日時:2018年7月3日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。