episode 8-5 ページ6
「二宮さん、次の陣痛が来たら大きく息を吸って息んで下さいね！」
やっとGoサインが出された。
NICUのドクターたちは、手に小さなステートや細い吸引チューブを持って待機している。
「唯、一緒にがんばろっ！」
ずっと繋ぎっぱなしの手にぎゅっと力を籠める。
「ああっ！」
唯が声を上げて陣痛の開始を知らせた。
「唯ちゃん、深呼吸！ほら！」
俺が焦った声をあげる横で、
「唯ちゃーん、ほら、鼻から大きく吸ってごらん？」
って風間がステートを差し込みながら言ってくれた。
「はい、しっかり息んで！！」
桑原先生の合図で痛いくらいの力で俺の手が握られる。
「唯…」
人間、あまりにも必死になると言葉って出ないんだね。
ただただ唯に負けない位の力で手を握ってた。
「じょーずよー！赤ちゃんも頑張ってるからねー」
桑原先生の横にいる、西野さんからも声が掛かる。
「はい、１回休憩」
桑原先生の指示が出て、小休止。
その場にいる全員が『はぁ』ってため息を吐いてて。
それが無性に嬉しくて。早くも鼻の奥がツンとするのを感じた。
「次で産まれるからね？」
「えっ？」
もう？って思った。でもそれ以上考える暇もなく、その時は来た。
唯の手に力が入ったその時、
「赤ちゃん、しんどくなる前にちょっと切らせてねー」
言うやいなや、
『ジョキンッ』
って音がした。
会陰切開だ。
そう気付いた瞬間、自分の下半身に衝撃が！
あったような気がした…
そんなのを打ち消す先生の声が聞こえた。
「赤ちゃんでまーす。あぁちいさい…」
「はい、息むのやめて！ﾊｯﾊｯﾊｯよー」
西野さんは唯に指示をする。
小さい？？そんなに？俺の頭は混乱。
その時、一気に人が動き出した。
「男の子です！14時50分ー」
「ベビーもらいますねー」
俺は力の抜けた唯の手を開いて自分の頬にくっ付け、俺の反対の手を唯の頬に。
「お疲れ様…」
そして訪れた静寂―――
『ほぎゃ、ぁ、』
たった一声。弱々しい声。
だけど何より聞きたかった声。
唯の目から一筋の涙が零れた。
「唯、おめでとう…
ありがとう…」
それ以外、何も言えなかった。
気付けば俺の頬にも流れているものがあった。
もっともっと『やったー！』みたいなものが突き上げてけるのかなって思ってた。
だけど違ってた。
厳かで。神聖な。神秘的な…
そんな瞬間だった。
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虹(プロフ) - ともさん♪はじめまして！１番ひっそりしているこちらにコメントを頂けて、とっても嬉しいです。にのちゃんと仲間のキレッキレのお医者さんとしての姿と、甘々で主人公ちゃんを溺愛する姿を書きたくて(笑)赤ちゃんまで生まれてこの先にのちゃんはどうなることやら(^_^;) (2019年1月4日 17時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 虹さん初めまして。一気に拝読させて頂きました。一気に読みした事で…ちょっと頭の中でパニクってます。でも〜かずくんの偉大な愛が主人公ちゃんの幸せを呼び寄せてるって思って涙が止まりません！素敵な仲間にも恵まれて…心がホッコリしてます。 (2019年1月4日 17時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - coorparooさん» coorparooさん、こんばんは。色々企んでますよ(笑)あっちのあの子たち、どうしてくれましょ？(^_-)考えるだけでニヤニヤしちゃいます。こちらは遂にベビーちゃんが生まれました。この先も頑張りますのでよろしくお願いします♪ (2018年11月4日 21時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 雅☆和?さん» こんばんは！変わらずキュンキュンしてくれてて嬉しいです(^O^)喜び爆発のニノちゃんは出てきませんでしたが、こんなニノちゃんいかがでしたか？(笑)これからもよろしくです♪ (2018年11月4日 21時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
coorparoo(プロフ) - 更新＆お引越し開始、ありがとうございます。新しい家族の誕生も、あっち(？)の和と潤の成長も本当に楽しみにしています。 (2018年11月4日 21時) (レス) id: 252f82640a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年11月4日 19時
