episode 10-5 ページ36
それから半日。
やっとスタッフルームに戻ってくると、ソファに沈み込むようにして座る潤くんがいた。
「お疲れ…」
「ん…」
会話のきっかけさえ掴めない。
無言のまま、どれくらいの時間過ごしていただろう。
「なあ、ニノ。
俺は何のために、ここに来たんだろうな…」
聞いたこともないような沈んだ声で、話し掛けられた。
「なに？いきなり…」
戸惑いを露にする俺に、更に潤くんが言う。
「俺はさ、どっちも助けたかった。
そのためにここに来たはずだった…」
って。
潤くんが救急救命センターに来たのは４年前。
俺たちは後期研修を終え、それぞれ自分の希望する科に配属された。
潤くんは迷うことなく、産婦人科医になって、同期の誰よりも熱心に仕事に取り組んでいた。
だけどそれから半年ぐらいたった頃、潤くんがやって来た。
本人の口から聞いたことはないけど、分娩中に起こった不測の事態で母子ともに危険な状態になって。
その時は赤ちゃんが助からなかった、って聞いたことがある。
産婦人科医を辞めて、ここに来たのは、
『次こそは、どっちも助ける』
って、強い意思の現れだったのかも知れない。
だけど今回は交通事故による脳挫傷。潤くんが体験した過去の症例とは、かけ離れたものに違いない。
それも誰もが諦めてしまいそうになるほどの絶望的な状況の中、素早い判断をして赤ちゃんだけでも救えたのは、決して悪い結果ではない。
それでも、真面目でストイック過ぎるこの男にしてみれば、残念な結果なんだろうね。
「潤くん、俺たちは神じゃない。
こんなこと、俺に言われるまでもなく分かってるとは思うけどさ？
目の前の救える命を確実に。救えなかったとしても、最後まで全力で…
それしかないと思う、俺たちにできることは」
俺の言葉に何も話さなかった潤くん。
同じ場所に身を置く者として、誰かに何かを言われて乗り越える壁ではないって分かってたけど、それだけはどうしても伝えたかった。
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虹(プロフ) - ともさん♪はじめまして！１番ひっそりしているこちらにコメントを頂けて、とっても嬉しいです。にのちゃんと仲間のキレッキレのお医者さんとしての姿と、甘々で主人公ちゃんを溺愛する姿を書きたくて(笑)赤ちゃんまで生まれてこの先にのちゃんはどうなることやら(^_^;) (2019年1月4日 17時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 虹さん初めまして。一気に拝読させて頂きました。一気に読みした事で…ちょっと頭の中でパニクってます。でも〜かずくんの偉大な愛が主人公ちゃんの幸せを呼び寄せてるって思って涙が止まりません！素敵な仲間にも恵まれて…心がホッコリしてます。 (2019年1月4日 17時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - coorparooさん» coorparooさん、こんばんは。色々企んでますよ(笑)あっちのあの子たち、どうしてくれましょ？(^_-)考えるだけでニヤニヤしちゃいます。こちらは遂にベビーちゃんが生まれました。この先も頑張りますのでよろしくお願いします♪ (2018年11月4日 21時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 雅☆和?さん» こんばんは！変わらずキュンキュンしてくれてて嬉しいです(^O^)喜び爆発のニノちゃんは出てきませんでしたが、こんなニノちゃんいかがでしたか？(笑)これからもよろしくです♪ (2018年11月4日 21時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
coorparoo(プロフ) - 更新＆お引越し開始、ありがとうございます。新しい家族の誕生も、あっち(？)の和と潤の成長も本当に楽しみにしています。 (2018年11月4日 21時) (レス) id: 252f82640a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年11月4日 19時
