チルドレン (スナイダー+α) ページ7
雨が降った日の作戦で、道がぬかるむから皆大丈夫かと心配しながら窓に着く雨粒を眺めていた午後。入れでもらったミルクティーに口をつけながら頬杖をついたそんな時だった。
「ねー!A大変だよ!!」
食堂の扉を勢いよく開け放って入ってきたのはびしょ濡れのマルガリータ。
少々、面食らいながらも必死な様子の彼につとめて冷静に返答する。
「マルガリータちゃん…どうしたの?」
「いーから来て!」
腕を引っ張る彼に足をもつれさせながらもなんとかついて行く。
マルガリータが向かった先は作戦が終了して先程帰還したチームだった。皆一様に雨に打たれ濡れてしまっていて、タオルとシャワーの準備をしなければと頭の片隅で考えてしまう。
「A連れてきたよ!」
マルガリータの声に皆が一斉に顔をあげ、私を見つめる。その表情にはなんとも言えない悲壮感が漂っていて、嫌な予感がした。
それにスナイダーの姿が見えないことに気が付き心臓に冷たい風がふいた。まさか…
いつもは姿を見た瞬間まとわりついてくる彼の姿が見えないことに息を呑むと、エンフィールドがゆっくりと近づいてきた。
「マスター…」
「エンフィールド、スナイダーは?」
「……スナイダーはその…」
俯きながら呟くエンフィールドは歯切れが悪く私に言葉を返すと、腕に抱えていた鉄の塊を私の前に差し出した。
「今日は道のぬかるみが凄く…僕が足を取られて…」
真っ二つに別れたソレに言葉を失った。
壊れて銃に戻ってしまった彼等を何度か見て、不甲斐ない気持ちになったことは何度もあるが2つに別れてしまったの見るのは初めてだった。
彼等、貴銃士は死なない。
だけど、こんな真っ二つになってしまっても平気なんだろうか?確信もない以上早く技術者に見せなくては。逸る気持ちをでエンフィールドをみると、エンフィールドは言葉を切った。
「マスター、落ち着いてください」
「でも、早く治さなくては」
「…見てください」
掴みかかる勢いの私を宥めるとエンフィールドは後ろに控えていたベスに目配せをした。
ベスもなんだか観念したような顔をして私の前に歩いてきた。1人ではなく、小さな子供を連れて。
「え」
「マスター、なんだ…簡潔に言うとだな
スナイダーが割れて、子供になった」
以上。
そんな言葉がつきそうなほど簡潔な言葉に動きが止まる。
ベスに手を引かれる少年はスナイダーと同じ、紫の髪とあまりよろしくない目付きで私を見上げたのだった。
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作者名:豆腐 | 作成日時:2019年4月5日 22時