チルドレン 7 (スナイダー+α) ページ13
部屋の近くまで来て、やっと歩みを遅めた。
壁にかかっている蝋燭がほの暗く照らす廊下で足を止める。
「ビックリしたぁ…」
ため息混じりに深呼吸してから、まだジンジンと痛む自身の手を見た。
くっきりとついた歯型がぷっくりと蚯蚓脹れのように膨らんで、指で軽く触っても痛みがあった。手首に至っては鬱血している。
「どうしていきなり…」
エンフィールドがなんでいきなりあんなことしたのか分からない。てゆうか、私…告白されよね…?気が動転していたけど、確かに愛してるって…
「マスター?」
「きゃあ!!」
背後から突然声をかけられ、思考の海に落ちていた意識が引き戻される。
「エンフィールド…」
「紅茶、持ってきました」
「あ、ありがとう」
後ろにいたのは湯気のたつカップと砂糖、ミルクの小瓶が乗ったトレーを手に持つエンフィールドだった。揺らめく明かりにあてられた彼の微笑みはいつも通り穏やかで。
何も変わらない彼に恥ずかしいやら、気まずいやらでぎこち無い私にエンフィールドは申し訳なさそうに眉根を下げた。
「マスター…先程はすみませんでした」
「え、あ、え?」
「その…自分の気持ちをどうしたらいいか分から
なくてあんなこと…」
しょんぼりと項垂れる彼に心が軽くなる。
ああ、よかったいつもの優しいエンフィールドだ。安堵から綻ぶ顔のままエンフィールドからトレーを受け取る。
「気にしないで、ほんとにありがとうね」
あれは完全にエンフィールドの愛情表現なんだと信じきることにした。馬鹿だと思うけど現実逃避の甘い感情もあった。
エンフィールドにおやすみと言うと、彼のおやすみなさい、マスターと返してくれる。
彼の微笑みが揺らめく蝋燭で陰りを見せた。
月明かりが窓からわずかに差し込んでいた。
________
中編くらいありそうな長さになってきましたがあと二、三話で終わりたいです。
エンフィールドのガジガジ受けが悪そうだなーって思いながらも書いてしまいました…
寂しがり屋の伏線回収したらヤンデレ気味に…
個人的にスナイダー、エンフィールドは噛みグセありそうだなって。すみません。
よろしくお願いします。
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作者名:豆腐 | 作成日時:2019年4月5日 22時