【歌い手】男の人が怖いけど姉さんは仲が良い【96猫】 (ページ33)

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三十一話ページ33

此処を二人に見られるわけにはいかない。

わしは二人を帰ってもらうように、素早くアイコンタクトする。

するとそらるさんが理解してくれたのか、家から出ていってくれたようだ。

身体の力が和らぐ感じがした。

96猫《なんで、溜め込むんや》

此方を鋭い目で見つめる姉さん。

姉さんが、涙をながし始める。

96猫「うっ...ﾋｯｸ」

聞こえる。

声が、音が、聞こえる。

96猫「ごめんなさい...」

なんで謝るの？

わしが悪いのに。

96猫「こんな姉で、ごめんなさい...」

姉さんは、悪くないよ...

寧ろ、こんなわしでごめんなさい...

96猫「"私"なんか、要らないのに...」

要らなくないよ、"お姉ちゃん"は悪くなかった

わしこそ、"私"が生まれてきて、ごめんなさい

『ご、めなさ...』

なかなかしゃべれない。

96猫「！声...」

ごめんね

ごめんなさい

『わし、姉さんのこと信頼、してる...

嫌って、ない...

大切な、家族だから...

わしは...

僕は､私は"お姉ちゃん"のこと好きだから...』

そういうと、姉さんはさらになきはじめる。

ど、どうしよう...

96猫「ごめんねっ！ありがとう、ありがとうっ！」

わし、お礼言われるようなこと、してない...

『わしこそ、ありがとう...ごめんね』

そういうと、姉さんは顔をあげながら、言う。

96猫「わしこそ...ごめんっ！」

それは、長年見ていなかった最高の笑顔だった。