【歌い手】男の人が怖いけど姉さんは仲が良い【96猫】 (ページ29)

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二十七話～過去編～ページ29

No side

『おねぇちゃーん！』

普通の、女の子だった。

その少女は、姉をいつもいつも追っていた。

96猫「ん？あ、A！全く、私についてきたん？かわいいやつめー！」

Aと呼ばれた少女は、姉に抱きつく。

『えへへ～...』

ニコニコと、笑いながら姉の頬をスリスリするAは、それこそ端から見れば普通の少女だった。

母「棗～...棗っ！」

少女たちの母は、汚れている、化け物でも見たかのように姉である棗の名前を呼ぶ。

棗「んー？あ、母さん！」

『お母さんだぁ！』

二人とも、母に気がつき、母の方を見る。

だから、棗は気がついていなかった。

Aが一瞬、悲しそうな、辛そうな顔をしたこと。

Aが、いつも泣いていること。

Aの負の感情を棗は見たことがなかった。

否、見ることが出来なかった。

そういうときは、両親が見られないように、部屋へ閉じ込めていたから。

Aは、やがて大きくなっていく。

勿論、棗も。

Aは、家族からの痛みになんとも思わなかった。

しかし、ある日のことだった。

「Aちゃんっ♪

あたしのために、裏切り者になってね♡」

『え...？』

Aは、全てに絶望した。

自分の存在価値。

自分の存在の意味。

自分が生まれてしまったこと。

自分の、自分の、自分の...

その中の一つの、たった一つの希望であり、大切な宝物。

それは、Aに近づいて、優しく抱き締めた。

棗「大丈夫、大丈夫やから...」

Aの宝物は、姉である棗だった。

『私の、存在はいらないんだ...っ！』

Aと棗の姉妹は、"私"を捨てる。

そして、"わし"と"僕"を受け入れた。

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はーい、夜桜さん、久しぶりですね！

此方も見てくれるなんて、有難う御座います～！