42人 ページ42
シャオロンとロボロの家で過ごして三日目。
帰るのだ、という実感。
どこからか聞こえる鳥の鳴き声に重たい瞼を押し上げた。
どこか気だるい体を起こす。
くしゃくしゃになった服を見て、ため息をついてしまう。
此処に来てからというもの、いつも寝るのが不安で、怖くて。
気がついたら寝落ちしていたというパターンが多い。
此処には女性がいるわけでもないので服はなく、三日間同じ服を着ていたこととなる。
Aにとっては信じられないことだが、シャオロンとロボロは普段通りと言った様子で聞くことは出来なかった。
少しでも、と服の裾を伸ばしているとドアがノックされる。
『開いていますよ』
「...嗚呼、そう。入んで」
びく、と肩が揺れてしまう。
あまり話さなかった相手、ロボロだ。
その低い声はどこか婚約者を思い出してしまうため、慣れない。
ロボロは部屋に入ってくると、「朝御飯やけどいるか？」と何処か威圧の感じる言い方をする。
思わず反射的に『いりますっ』と返してしまった。
焦って口元を手で覆う。
今、私は何を___。
顔を真っ青にするA。
相手の様子を窺うように顔をあげると、そこには思いにもよらない光景が見えた。
笑っている...ロボロが。
笑っている、と言っても声を出して笑うまではいかないが、少し眉を下げて微笑んでいる。
『あのっ...』
rb「シャオロンが待っとる。食べんならはよ行くで」
クル、と体を回転させそのままリビングへと直行していくロボロをAは追う。
機嫌が良かったのか。
何がともあれ、怒られなかったのはAにとって安心の種となる。
rb「今日、帰るんやな？」
『ぇ、あ、はい。そのつもりでしたが』
rb「ふーん...」
ロボロのいつもの口調。
しかし、何処か声色は優しいように感じる。
rb「あー、せや。お前に言っとかなあかん」
ロボロの桃色の瞳と目が合う。
rb「あんさん、死にたくないやろ？」
『...え？』
いきなりの重すぎる話に目を丸くする。
死にたくないか...
生きたいか、死にたいか、なんて聞かれたら生きたいと答えるだろう。
しかし、生きたいか、だけでは困ってしまう。
生きていてどうなる？
...分からない。
Aにとって難しすぎる問いに黙ってしまう。
rb「...理由なんていらん。生きたいん？」
理由はなくていい...
Aはほぼ無意識の状態で『生きたい』と掠れる声を絞り出した。
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ぽっぷこーん(プロフ) - 神作ありがとうございます。29話、やっぱ、置きとったんかの所起きるですね (2021年10月12日 19時) (
レス) @page29 id: 23b3a74ded (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 初コメ失礼します！私もその曲好きです！最近知ったのですがこういう悪役令嬢の話をよく読んでるので他の曲より歌詞がグッときますよね！これからも頑張ってください！ (2021年4月10日 22時) (レス) id: 409dd9da63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月14日 0時
