2人 ページ2
ざわめく教室。
しかし、Aが入るや否や皆黙りこくってしまう。
Aはそんな空気さえも無視をし用意を進める。
「...隣ですね」
そう言い微笑む男子生徒。
Aの脳内に彼の情報が浮かび上がる。
『エーミール様ですね』
em「ご存知でしたか？」
『ええ。書籍は読ませていただきました』
Aがそう言うと照れ臭そうにエーミールは笑った。
em「嬉しいですが恥ずかしいですね」
『そうなんですか』
あまりにも冷たい態度のAにエーミールは話を広げられないからか困った表情をする。
em「あの...A様」
『なんでしょうか』
em「どうか、私の事を様付けで呼ぶのは控えて頂けないでしょうか」
『申し訳ないですが出来兼ねません』
Aの即答にエーミールは困った表情を隠せていない。
他のクラスメイトはその状況を不憫そうに眺めているだけ。
しかし、それはAの中での仕来たりに関係するのだ。
最も身近な者は呼び捨て。
友人、血縁者はさん付け。
その他は様付け。
しかし、一応身分で例外もある。
em「そうでしたか...」
エーミールは申し訳なさそうに頭を避け用意を始めた。
二人だけ気まずい異様な雰囲気。
二人、といってもAとしては特に気まずくも何もないのだが。
時間まで待つだけの時間、Aは本を取り出しそれを読み始める。
といっても、哲学の本。
ラプラスの悪魔や社会正義など様々な分野を読んでいる。
『...嗚呼、時間ですかね』
ふとAが時計へと目を向けると思っていたより時が経ってきて思わず声に出てしまう。
しかし直ぐにお父様に怒られてしまう、とAは口を閉じた。
先生か入ってきて直ぐに入学式の開始を知らされる。
モニターに映る校長先生と新入生たち。
首席者のレポートが始まったとき、Aは肩を跳ねさせた。
そこには、朝見たばかりの女子生徒が立っていた。
「私は、__」
話始めるユウにAは顔が歪んでいく。
鈴の転がるような声がコロコロと声のトーンを変えて話していく様は見ていてかわいらしい雰囲気をかもし出す。
ここでは珍しい黒髪はAの知人を思い浮かばせるがその瞳は柔らかい灰色をしていた。
『...っ』
無意識に握っていた手から血が出る。
あまりにも強く握りしめたせいで血の回りも悪く白くなってしまっている。
Aは口に出すことなく、辛そうに顔を歪ませた。
_成金の分際で_
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ぽっぷこーん(プロフ) - 神作ありがとうございます。29話、やっぱ、置きとったんかの所起きるですね (2021年10月12日 19時) (
レス) @page29 id: 23b3a74ded (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 初コメ失礼します！私もその曲好きです！最近知ったのですがこういう悪役令嬢の話をよく読んでるので他の曲より歌詞がグッときますよね！これからも頑張ってください！ (2021年4月10日 22時) (レス) id: 409dd9da63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月14日 0時
