四十九日目 ページ49
ようやく鬱の部屋につき、ノックをすると鬱が出てきた。
「久しぶりやな、お前ら」
「おう、鬱先生」
嬉しそうに声をかけたコネシマに鬱は止まるよう言う。
「ここから進むつもりなんやったら俺と約束せなあかん」
真剣な表情でそういう鬱に『嫌だ〜』とAは馬鹿にするように茶々をいれる。
「おい、おまっ...」
鬱は何が面白かったのか、笑ったが「んん、」と取り戻したように「約束せぇ。物にダメージを与えるな」といった。
トントンはそれを聞いて悪い笑みを浮かべる。
「ダメージがないんやったら何してもええってことやな？」
「貰ってええねんな？」
トントンに便乗するようにコネシマがそう言うと鬱は慌ててそれを止めた。
「それ俺にダメージやから！俺も物やから！」
『だったら売ろうぜ』
「キャラ変わっとらんか？君」
倦怠感からか物事が通常通り処理できないAは変なことを言い出す。
鬱が引くようにそれを見て、ゾムは「ほんまに大丈夫なんか...？」と心配そうにAをみた。
「ダメージちゃうやん。丁寧に梱包して持って帰るやん」
「それを見た俺がどうなるか。ダメージを負う」
『んはは、ざまぁ...いや、何が？』
「ほんま大丈夫なん？」
一つ一つの仕草がもう駄目だと察知したのか、鬱以外Aに対して反応を示さない。
「まぁ...な？ok？」
「いやいやだって、本人へのダメージは無効やろ？」
『サイコパスじゃん』
「ちょっとAさん黙ろうか」
ゾムによって口を塞がれるA。
ゾムの手のひらがAの口を塞ぎ、その隙間から『んむー、んん！』と鼻声のような声が聞こえる。
鬱はため息をつく。
「つまりは、物にダメージを与えたらあかんねんな？
で、物を持っていってもあかんねんな？」
「あかんよ」
確認をとるトントンに鬱はそうだと頷く。
「それ以外は何してもええってことやんな？」
「そうやな」
トントンの言葉に頷いたコネシマ。
鬱は「大事なとこ飛んだわ」と言い、そのあとに何もしないようもう一度言った。
「あ、せや。君ら君ら、スリッパ履いてもらってええか」
「ちょっと待って君さ、もう既にスリッパの時点でコイツ尖り失ってますよ！」
「失ってるね」
コネシマは不服そうに鬱を見る。
ゾムもあまりに驚いたからか、Aの口から手が離れる。
『あは、スリッパださ』
「ほんま毒舌やな、どうしてん」
鬱はAが可笑しいことを指摘する。
どうやら諦めることはしないようだ。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
