四十三日目 ページ43
約一ヵ月後。
夜中、Aは鬱がいなくてつまらないという理由から来ていなかったが、久しく鬱の部屋へと向かおうとしていた。
...しかし。
『...なに、これ』
身体中鉛がついたような倦怠感に顔をしかめる。
まだ鬱の部屋のベランダに立ってもいないというのに、襲ってくるそれに嫌悪感を抱く。
『月経？』
そんなことを言いふざけながらも上がろうとする。
そんなAに気がついたのか、慌てたように後をついてきたあやめはAを止める。
『どうしたの？』
首をかしげるAに必死に止めるあやめ。
何か可笑しいと気がついたAは鬱の部屋へ向かうのを諦めあやめの話を聞くようにしゃがみこむ。
『...うわぁ、神様なの？面倒くさそう』
話を聞いたAは顔をしかめた。
『う〜ん、どうしよう。
ここで無理なら、ゾムの部屋に行くのも無理だし』
今日はボッチか？とふざけながらもAは諦める。
しかし、その時だった。
「あれ、...？」
声に反応し直ぐに声の元へと目を向けるとレウクラウドがいた。
反応速度に驚いたのか、目を丸くしているレウクラウドに、Aは冷や汗を垂らす。
Aからしてみればはじめて会う相手なのだから、それが妥当だろう。
「あれ...誰、かな？
見た記憶はあるんだけど...」
レウクラウドの言葉にAは眉を潜めた。
自身は生きていないなど言えずに黙ってしまう。
「えっと...名前を聞いても良いかな？」
黙っているAを見兼ねレウクラウドがそう聞くも、Aは黙っているだけ。
それでもAの正体に気がついていないレウクラウドは呆れたようにため息をついた。
「流石に、その行為は夜間授業に成りかねないんだけど...今ならまだ大丈夫だよ？」
レウクラウドがそう言うとAは確かに諦めたように話し出した。
『猿山、Aと言います』
「...猿山？え、ぁ、あ"！？」
反応が遅いがようやく気がついたらしい。
「ええー...嘘、らっだぁの？」
何故皆らっだぁが思い付くのだろうか。
いや、当たり前かもしれない。
猿山、等という苗字は珍しいのだから。
...恐らく、ではあるが。
とりあえず、少なくともこの学校内では猿山はらっだぁしかいないのだ。
「っていうことは、お化け？」
『...まぁ、そうなりますね』
頷くAにレウクラウドは顔をしかめた。
若干怯えているようだった。
Aはその様子を見て目を反らすもレウクラウドはその行動に気がつかなかった。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
