2個 ページ2
教室に入って友人と挨拶を交わす。
どうでも良いことを話し続ける。
「でね、○○ちゃんがトントン君のこと好きらしくて〜」
始まった。
そもそも先輩のことを君づけとは何事だとは思うがうちの高校ではそれも普通。
目の前の友人は○○さんと仲良かった筈だが...
今はうざったらしいと言わんばかりの目力でちらちらと睨みながら声を潜め話してくる。
「本当、身の程知らずだよね〜。本当、うざい」
怖いなぁ、なんて思いながらニコニコ流しておく。
此処で変に頷くと八方美人だとか言われ兼ねないし、だからと言って守ってあげるほど優しくない。
「そう言えば、Aちゃんは誰が好きなの〜？」
にこ、と笑う友人の顔がひきつる。
あからさまに作り笑顔だ。
良く問題を起こしているという、"生徒会ファンクラブ"の目もこちらに向けられていた。
『んー、田中君かな？』
「へ？田中君...？」
『うん。最近猫を飼い出したらしくて、そこから話が盛り上がってさ』
「Aちゃんって、猫飼ってたっけ？」
『んーん、私じゃなくておばあちゃん』
「そうだったんだ！」
友人は目に見えて安心している。
どうせ、バラされるんやろ。
前に田中君と結んだ条約が役に立ったわ。
条約って言うほどではないんやけど。
その時時間が来てチャイムが鳴る。
先生が来ていなかったから良いものの友人は「やば！」と席についた。
それさえもいつものことなのだが。
「おはよう」
『ん、ギリギリだね』
隣の席を見れば先程話に出てきた田中君がいた。
頭をかいて困ったように笑っている。
小声で話していれば騒がしいクラスの中では誰に聞こえることもない。
「あはは、寝坊しちゃって」
『またゲーム？』
「うん。」
『飽きへんな、ぴくとさん？』
pk「ゲーム名で言わないでよ...」
はぁ、とため息をつきながら鞄を下ろすぴくと。
『あだ名だからええやん』
pk「Aが関西弁を隠すようなものだよ。
そもそも俺はあだ名で呼ばれるような陽キャじゃないし。」
『やーい、陰キャ』
煽ればぴくとはまたか、とため息をつく。
『幸せ逃げんで？』
pk「Aのせいだよ」
ぴくとが鞄を横にかけたとき偶然にも先生が部屋に入ってくる。
ギリギリだったな、とぴくとを見ると彼も同じことを思ったのか安堵の表情を浮かべていた。
まだ少し騒がしいまま先生は話し出し、大した情報もないのか直ぐにクラスを出ていった。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年1月1日 0時
