オレも！と言えなくて…7 ページ3
翔サイド
もうすぐ昼休みって頃、受付の人に、
「翔先生、学校の先生から外線入ってます！緊急だそうでーす！」
その声に反応して、目の前の患者さんに『失礼します』と一言断って、電話の子機を手にした。
すぐに聞こえて来たのは、保健の先生のちょっと焦った声。
伝えられる状況に、俺の心臓もドクンと大きく脈打つのを感じた。
「ちょ、ちょっとだけ待ってて下さい！」
冷静にとは思っても周りに十分な気配りなどできず、やっとの想いでそれだけを言って、診察室を出た。
ちょうど患者さんを見送った雅紀が見えたから、手招きしながら会話を続ける。
「ええ、では喜多川総合病院に…
はい、お願いします。
こちらからもなるべく早く誰かしら向かいますので…
ええ、はい、はい…
ご迷惑お掛けしますが…
よろしくお願いします」
何事かと歩み寄ってきた雅紀に子機を渡しながら、
「潤が低血糖で救急搬送される。
俺は今行けないから、智にぃに連絡して行ってもらって。
和のことはゆかに頼んでくれ…」
そう伝えて診察室に戻った。
雅紀が何か言っているのが聞こえたけど、聞き直す余裕なんてなかった。
もちろん心配で今すぐにでも飛んで行きたいってのが正直な気持ち。
だけど目の前にいる患者さんを放置することはできない。
今、俺がすべきことは、いつも通りの診察をして滞りなく午前診を終わらせること。
そう自分に言い聞かせながら、診察を再開した。
ほどなく途中だった患者さんの診察が終わり、デスクの上にある2冊のカルテに視線を移すと、どちらも新患さん。
これはちょっと時間が掛かるな…と、所要時間の目星をつけていると、
「翔！
行って！あとは僕が引き受けるから、早く！」
って言いながら、智にぃが飛び込んできた。
逡巡しなかった訳ではないけど、新患なら誰が診ても変わらないか…と、身勝手とも取れる決断をしてクリニックを飛び出した。
走って渡り廊下からリビングを突っ切り、車のキーを掴んで玄関を出た。
それからは夢中で、ただ事故らないようにとそれだけに意識を集中させて、喜多川総合病院を目指した。
勝手知ったる院内。最短距離で救急センターに行ける駐車場を迷いなく選んで、乱暴に車を停車させた。
車を降りると、寝不足の体に鞭打つようにして、救急センターに向けて走った。
自動ドアが開くのも待ちきれず、左右の肩を交互にぶつけながら中に入ると、見知った顔がいくつも並んでいた。
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まぁさ(プロフ) - 何度も戻ってきてしまいます。あの家族に会いたくて。また更新されるのを楽しみにしています。 (2022年2月26日 7時) (
レス) @page8 id: 970a4044af (このIDを非表示/違反報告)
em(プロフ) - 最初から一気に読み直しました！ドキドキハラハラほっこりするお話しで大好きです！また更新されるの楽しみにしています！ (2021年9月2日 21時) (レス) id: 8d8bf5d378 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 最初から読み直しました(*＾▽＾*)また更新されるの楽しみにお待ちしてます☆ (2021年5月9日 8時) (レス) id: f4ca038df0 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - season1の1話目から再度一気読みしてしまいました！続きをまたいつか、楽しみにしています！ (2021年1月16日 13時) (レス) id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 前更新されていた時からのファンです。また更新してくださいー！和くん潤くんが見たいです。 (2021年1月15日 6時) (レス) id: 85c9a45f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2019年6月6日 17時
