心に負った深い傷 2 ページ29
「お邪魔しまーす。大野和也の家の者ですが…」
翔にぃが言いながら保健室のドアを開けると、
「お待ちしてました！
さっきけやきの松岡先生が来てくれて少し落ち着いたところなんですけど…」
って、養護の先生が昨日と同じパーテーションで仕切られた一角に目を向けた。
「雅紀、和のとこ行ってやって？
俺は先生に話を聞いてから行くから…」
「分かった。じゃ、お邪魔します…」
それだけを言って、奥へと進み、
「かーず…」
呼び掛けながら入って行くと、驚くような光景が…
床に先生と思われる人がタオルケットに包まれた物体を抱えるようにして転がっている(苦笑)
「和くん、お家の人来てくれたよ？」
そう声を掛けられると、タオルケットの塊がモゾモゾ動き出した。
すぐ近くまで行って、刺激しない程度の声量で、
「かーず？まーにぃきたぞぉ」
って、言ってみた。
「先生、離れるよ？大丈夫だからね？」
先生がそう告げてからそっと起き上がり、俺に場所を譲るように離れてくれた。
「和、聞こえてる？タオルケット、捲っても大丈夫？」
コクコク動いたから、その動いた部分からタオルケットを捲ると、汗で髪の毛が張り付いた顔が出てきた。
途端にまた泣き顔に変化して、
「うわ〜ん…」
大声で泣いて飛び付いて来た。
飛び付いて来たその体は熱くって、どれだけのエネルギーを使っていたかが窺えた。
しかも濡れていてアンモニア臭を放ってる。
「よしよし、もう泣かなくて平気。大丈夫、大丈夫だから…」
小さなその体を抱きしめ、何度となく頭を撫で続ける。
かなりの時間そうしていると、人の気配がして、
「和…お家に帰ろう。
パパ先生から全部聞いた。もう何も心配しなくていい。大丈夫だから、な？」
翔にぃが和にそう言って、濡れるのも構わず和を抱き上げた。
和は翔にぃの首に腕を回してしがみつき、また激しく泣き出した。
俺だけ状況が分からずポカーンとしていると、
「いくら2年生とはいえ、やって良いことと悪いことがあるっていうのをしっかり言って聞かせます。
夕方にはご連絡できると思いますので、今はお家でゆっくり休ませてあげて下さい」
「分かりました」
翔にぃは短く言って、和を抱いたまま出て行った。
その後ろ姿を呆然と見送っていると、
「未然に防ぐことができなくて、本当に申し訳ありませんでした。
後程必ず連絡しますので…」
先生もそう言って出て行ってしまい、やっぱり俺だけ何も分からないまま(苦笑)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
棗(プロフ) - パスワード申請します 。 いつも、拝見させていただいてます。 (2019年2月14日 20時) (
レス) id: ef140653c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - パスワード申請します。 お願いします。 毎回楽しく読ませて頂いております。 (2019年2月14日 16時) (レス) id: 03009ea5b3 (このIDを非表示/違反報告)
rietan(プロフ) - パスワード申請します いつも楽しみに読ませてもらっています 疲れた心が癒されます (2019年2月14日 0時) (レス) id: 09ada2be90 (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - こんばんは。パスワード申請お願いします。いつも、楽しく拝見させて頂いています。ドキドキしたり、ほっこりした気持ちになります。これからも、楽しみにしていますので無理の無いように更新楽しみにしてます。 (2019年2月14日 0時) (レス) id: bd8fca3fd7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - パスワード申請 いつも拝見させていただいてます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 1d2222a8c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：虹
| 作成日時：2019年1月19日 21時
