主婦喪失 14 ページ39
雅紀サイド
ゆかの笑顔が見れないまま、3日がたった。
病棟に上がって2日目の今日は、傷の痛みも幾分マシのようで、痛み止めを使う回数が減った。
だけど、食事は喉を通らないのか、申し訳程度に箸をつけるだけ。
睡眠も取れていないからか、ずっと視線はふらふらと、さ迷っている。
「ゆか、もう少し食べよう。
こんなちょっとだったら、元気になれないよ？」
昼食をホンのちょっとしか食べずに、箸を置いてしまったゆかにそう話かけると、
「元気になったって…
赤ちゃんは帰ってこないもん…」
消え入るようなか細い声で、そう言ったんだ。
未だ赤ちゃんを亡くしたことに強い罪悪感を持ち、自分だけが回復していくことに抵抗を示すゆか。
いつかちゃんと話をしないといけないと、そう思いながらも、ずるずると先伸ばしにしてきた俺。
だけど、もうそんなことをしていられない。
今日こそ、ちゃんと話合おう。
そう腹を括って、グッと椅子ごとベッドに近づき、
「ゆか…
ごめんな。
俺、何も気の利いたこと言ってやれなくて…
それに、ちゃんと話もしなくって。
今から話したところで、ゆかの気持ちの全部は分かってあげられないかもしれない。
それでも俺はゆかと話したいし、ゆかの気持ちを理解する努力はしたい。
だからゆかも全部話して。
ゆかのここにある、悲しみも辛さも悔しさも怒りも何もかも…」
そう言って、ゆかの胸の辺りを指先でつついた。
ゆかは何かに耐えるようにぎゅっと口をつぐみ、やがて静かに涙を溢した。
あれこれ言いたいのを我慢して、ゆかが話してくれるのを辛抱強く待っていると…
かなりの時間を置いて、ポツリポツリと話始めた。
文章になりきれなかった言葉たち。
それを必死でかき集める。
集めた言葉からは、俺には計り知れない、ゆかの辛い胸のうちが、浮かび上がった。
『現実的ではないと分かっていても、もう誰も亡くなって欲しくないと強く強く願っていた』
『そう思うのは、過去の事件が影響している』
『それなのに今回失った命が、俺との間にできた初めての赤ちゃん』
『お腹に赤ちゃんがいたことにさえ気づかなかった』
『自分の体の変化にさえ気づかない自分が、和や潤の親代わりをしていていいのか』
それらのことが、際限なくゆかの頭の中を駆け巡り、ゆかを苦しめていたんだと知った。
想像を遥かに超えるゆかの悲しみや辛さを目の当たりした俺は、頭を悩ませた…
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
