主婦喪失 8 ページ33
僕が病院に駆け付けた時、翔と雅紀は憔悴しきった顔つきで、救急センターの家族控室にいた。
「雅紀！翔！」
ゆっくりと僕を捉えた2人は、申し合わせたように、その目から涙を溢した。
「ゆかは落ち着いてるの？」
僕の質問に無言で頷く2人の頭を、両腕に抱き寄せた。
良かった…
その気持ちと共に。
それから今朝、起きた出来事を詳細に教えてもらった。
時折言葉を詰まらせながらも翔は懸命に話してくれ、その説明を聞き終えたのは、もう日が傾く頃だった。
『激痛を伴って発症した子宮外妊娠は、破裂した卵管からの出血が酷く、裂けていた卵管を温存できず、摘出。ショック状態になり一度は心停止もしたけど、何とか持ち堪えた…』
簡潔に言うと、そういうこと。
だけど一部始終を目の当たりにした2人の気持ちを考えると、掛ける言葉さえ見つからない。
翔は全てがラッキーで、奇跡的に助かったんだと言った。
ゆかが運ばれたのが日中で、スタッフの人数が多かったこと。
心室細動が起きたのが止血をした後であったこと。
子宮外妊娠のオペ経験がある、優秀な産婦人科医が院内にいて、すぐに治療に参加できたこと。
そして家に医師が2人もいて、早期に子宮外妊娠では？と疑いを持って行動したこと。
これらの内どれか1つでも欠けていたら、救命できなかったかも、って言われたらしい。
今伝えられたばかりの衝撃的な事実の数々に思いを巡らせながら、ふと雅紀を見ると、長椅子に座り壁に凭れ掛かったまま、視線をさ迷わせていた。
僕はそっと隣に座り、その手を握った。
「雅紀、きっと大丈夫…
ここまで頑張れたんだから、必ず回復する。
僕たちはそれを信じて待とう。ね？」
まだまだ予断を許さない状態のゆか。
そんな気休めにもならないような言葉しか、見つからなくて…
それでも雅紀は『そうだよね』って無理に笑おうとしてくれて。
「雅紀、無理しなくて良いから。僕たちの前ではありのままでいて大丈夫だから…」
やっとの想いでそう言ってあげると、僕のお腹に顔を埋め、咽び泣いた。
雅紀はこれからゆかの精神的フォローもしなくちゃならない。
それは僕や翔では絶対に代わってあげられない、重要な役目。
だって、ゆかは…
生死をさ迷う重病を患ったと同時に、初めて授かった赤ちゃんを亡くしたんだから…
もちろん僕たちもできる限りのことはするし、頼って欲しいと思う。
だけど夫である雅紀にしかできないことがあるはずだから…
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
