主婦喪失 4 ページ29
翔サイド
「へ？」
俺の言葉にびっくりして、間抜けな声を出す雅紀。
すごく不躾な質問をしている自覚はある。
だけどゆかがろくに受け答えができない今、パートナーの雅紀に聞くのが1番。
家族とはいえ、プライベートに関わる質問。すぐに答えようとしない。
「恥ずかしがることじゃない。俺は今医者として聞いてる。
避妊せずに性 交渉があったのかって聞いてんの。答えて、雅紀！」
続けてそう言うと、
「あった…
それに2,3日前、生理が遅れてるって言ってた」
そうか細い声で答えた。
「雅紀、救急車！
それからドクターズバッグ取ってきて！」
未だ可能性のひとつでしかないけど、今の雅紀の答えで、それが少し現実味を帯びてきた。
俺がかつて小児救急にいた頃、一度だけ関わったことがある疾患。
勤めていた小児医療センターに入院する患児のお母さんで、付き添いしている最中腹痛を訴えて。取り敢えずって感じで診たんだけど、その時一緒に診た先輩医師に、
『若い女性の腹痛は外妊を疑え』
って教えられたんだ。
結果、その人は本当に子宮外妊娠で、併設する周産期医療センターの産婦人科医の緊急オペで一命をとりとめた。
その記憶が一気に脳を支配する。
もちろん他の疾患だって十分有り得るけど。
そんな事を考えながら、パンツのウエストを緩めたり和室から毛布を持ってきたりしていると、雅紀がドクターズバッグを持って戻ってきた。
「雅紀、バイタルチェックして！
で、できるだけ太い針でルート採りたいから準備して」
頸動脈で何とか触れる脈拍に、
『100はあるから大丈夫』
と自分に言い聞かせ、今できることを考える。
「脈126、血圧112/50、呼吸29、体温は…37,5」
「意識レベルは？」
「ゆかーわかる？分かったら俺の手握って？」
雅紀が努めて冷静な声でゆかに呼び掛ける。
「ん、わかるね？大丈夫だから、俺も翔にぃもここにいるから…
もうすぐ病院、連れてくからね？
頑張れ…」
その声を頭上に聞きながら、俺はできるだけ太い血管を探す。
もしもの大出血に備えて…
ほどなく、前腕の良い位置に血管が確保できた。
固定を手伝ってくれている雅紀に、
「念のためもう1本確保しとく」
そう告げて足側に移動する。
「大伏在にしよ…」
言いながら、膝下の大伏在静脈に触れる。
その時、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
「俺、誘導してくる！」
ドタバタと勢いよく飛び出して行く雅紀を見送って、再びゆかへと視線を戻した。
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
