爆発 ページ30
雅紀はその後、徐々に言葉で感情を表現するようになっていった。
だけどその殆どは『イヤ』『ダメ』『キライ』などの拒否や拒絶を示すもの。
中でも俺を困らせたのは『帰りたい』だった。
ここで智や俺といるより、あの寒くて寂しいオンボロアパートに戻りたいのか？
そんなことを思ったけど、雅紀にとってはあそこが慣れ親しんだ場所なんだと理解した。
それにどんなに酷いことをされても、雅紀の母親はその人、ただひとりなんだ。
『帰りたい』の言葉の中に『会いたい』という想いも籠められていることに気付いた俺は、切なさで胸がいっぱいになった。
どんな親でも子どもは親を追い求めるってことを目の当たりにして。
その頃の俺は、虐待関連の本を読み漁っていたから、色んな事例を知っていた。
それらに共通するのは、子どもが親のことを悪く言わないってこと。悪く言わないどころか、どんな酷い怪我を負わされていたとしても、その事をひた隠し庇うんだ。
そんなある日、雅紀が感情を爆発させた。
その日は朝からずっと機嫌が悪かった。俺ばかりではなく智にまで『イヤ』『あっち行って』って拒絶して。
だから俺は、昼飯を食ったあと、
「智、今日はケイコ先生と一緒にいて？」
って、智が俺以外で1番なついている先生と一緒にいるように言った。
それからずっと2人でいたんだけど、その殆どの時間を雅紀は部屋の隅で膝を抱えて過ごした。
俺はそんな雅紀を視界に捉えながらも、敢えてこちらからは声を掛けずにいた。
それが愛着障害によるものだって知っていたから。
そのまま迎えた夕飯。淡々と準備をすすめ、
「雅紀、ご飯。一緒に食おう」
そう言って、後ろから脇に手を差し入れ、ぶら下げるようにして連れてきて、テーブルの前に座らせた。
雅紀はテーブルの前に座っても俯いたままでいたから、俺は反対側に廻って座ろうとした。
その瞬間、"ガッシャーン"
派手な音を立ててテーブルをひっくり返した。
テーブルの下に腕を潜らせ、立ち上がりながらひっくり返した雅紀はそのまま立ち尽くしている。
その体はプルプルと震えていた。
「まーくんは…
まーくんはわるいこ！
わるいこにごはん、ない！！」
って、叫んだんだ。
虚ろな瞳で、体を震わせながら。
そして続けざまに全身を使って怒りを表現するように暴れ、頭をゴンゴン畳に打ち付けた。
「うわーーーーあー」
渾身の力を振り絞って、絶叫しながら…
俺はそんな雅紀を咄嗟に後ろから抱き締めた。
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虹(プロフ) - 葵さん» 葵さん♪こんにちは。それぞれの過去2はまだ読めません。公開できるようになったらパスワードを外しますのでもうしばらくお待ち下さい。名前変換が上手くいくかの検証のため今回は下書きにせずパスワードを付けています。すみません！ (2018年12月16日 17時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - それぞれの過去Part2を、読みたいのですがどうすれば読めますか？ (2018年12月16日 17時) (レス) id: 7f01e38703 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - Nachikoさん» Nachikoさん♪こんにちは！コメントありがとうございます(^O^)続きは公開の準備が整いましたら公開しますのでもうしばらくお待ちくださいね？これからもどうぞよろしくお願いします(^o^ゞ (2018年12月16日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
Nachiko(プロフ) - こんにちは！ 以前から読ませて頂いてます！毎回拝見するのが楽しみです♪続きが楽しみです！ (2018年12月16日 12時) (レス) id: fbc69c7e7a (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 桜＊潤さん» 桜＊潤さん♪今日も朝からコメントありがとう！多くを語らず手を掛けすぎず見守り続けた園長と大人への怒りを一旦置いて未来へと踏み出した翔ちゃん。智にぃの背中を追っかけて走りだしました。そんな姿が届いていれば嬉しいです。次partではいよいよゆかちゃんです！ (2018年12月16日 9時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月12日 9時
