接近 ページ19
それから3日経っても人の出入りはなく、その日の夜、ずっとつけっぱなしなっていた電気が消えた。
「電気代も払ってねぇのかよっ」
思わずそう愚痴って、交番へと駆け込んだ。
それからが大変だった。
俺が予想した通り、やっぱり「へんなおじさん」扱いをされて。
職務質問っての？それをされて、根掘り葉掘り痛くない腹を探られる羽目になった。
まぁ、何を聞かれても何の不都合もないから良いんだけどさ。時間がもったいねぇつうの。
結局そのアパートの部屋に入ったのは夜も更けた頃。
俺は今日は帰れないと園に電話を入れると、後ろで智の泣き声がしていた。
この時ほど体がもうひとつ欲しいと思ったことはなかった。
大家さん立ち会いのもと、アパートのドアが開かれるとそこには異様な光景が広がっていた。
ゴミが部屋中に溢れ、食い物の腐った臭いと糞尿の臭気が立ち込めていて。
数日前に覗いた時にもゴミは散らかってたけど…
正直ここまで酷いとは思っていなかった。
だけど1番気掛かりだった子どもは、無事だった。
その事実だけが嬉しくて。冷え切った体を近くにあった毛布で包んでやって。そうしている間も1度も声を上げる事はなかった。
泣いている所は何度も見たし、単語レベルではあったけど喋っている所も見た記憶があったのに。
腑に落ちないことはいくつもあったけど、今言い出せることではないと、胸の中に仕舞い込んだ。
警察官が辺りに置いてあるものの中から、子どもの名前が分かるものを見つけて来て、その子の名前が、
『相葉雅紀』
であることが分かった。
今、分かったばかりの名前を部屋の隅でポリポリとスナック菓子を食べる子に向けて呼んでみた。
「雅紀、くん？」
パッと顔を上げた雅紀は、部屋に警察官共々入った時には見せなかった不安を露にした。
俺が子どもに構い始めたのを見て警察官も寄ってきて、「お母さんは？」「お父さんは？」などと質問を始めた。
雅紀はそれらに首を振ることで答えた。
未だ一言もしゃべらない。
「これ食ってたの？」
部屋の真ん中に置かれた段ボール箱を示して言うと、コクリと頷いた。
その箱の中には、チョコレート菓子が僅かに残っているだけだった。
翌日には確実になくなるであろう量の菓子。
危ないところだった。
背筋に冷たいものが流れて行くのを感じた。
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虹(プロフ) - 葵さん» 葵さん♪こんにちは。それぞれの過去2はまだ読めません。公開できるようになったらパスワードを外しますのでもうしばらくお待ち下さい。名前変換が上手くいくかの検証のため今回は下書きにせずパスワードを付けています。すみません！ (2018年12月16日 17時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - それぞれの過去Part2を、読みたいのですがどうすれば読めますか？ (2018年12月16日 17時) (レス) id: 7f01e38703 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - Nachikoさん» Nachikoさん♪こんにちは！コメントありがとうございます(^O^)続きは公開の準備が整いましたら公開しますのでもうしばらくお待ちくださいね？これからもどうぞよろしくお願いします(^o^ゞ (2018年12月16日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
Nachiko(プロフ) - こんにちは！ 以前から読ませて頂いてます！毎回拝見するのが楽しみです♪続きが楽しみです！ (2018年12月16日 12時) (レス) id: fbc69c7e7a (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 桜＊潤さん» 桜＊潤さん♪今日も朝からコメントありがとう！多くを語らず手を掛けすぎず見守り続けた園長と大人への怒りを一旦置いて未来へと踏み出した翔ちゃん。智にぃの背中を追っかけて走りだしました。そんな姿が届いていれば嬉しいです。次partではいよいよゆかちゃんです！ (2018年12月16日 9時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月12日 9時
