変化 3 ページ16
智の両親の一周忌も終わり、智を苦しめる一連のPTSDの症状も落ち着き始めた。
落ち着いたと言っても、パニックになったり飯が食えなくなるようなことがなくなったって程度。
相変わらず口数は少ないし、この年の子どもらしく走り回って遊ぶこともほとんどなかった。
日中は園庭でスケッチをして過ごし、それ以外はぼーっと何をするでもなく過ごしていることが多かった。
そして迎えた翌年の春、智は小学校に入学した。
入学式は他の子どもと俺ら職員と一緒に、普通に出席したんだけど、翌日からは1度も登校することができなかった。
いわゆる不登校ってヤツ。
心配した俺は、またあの坂本医院に連れて行き相談した。
診察したおじいちゃん先生は、さも当然のように、
「そりゃあ学校は行けないよな」
って、サラリと言った。
俺は意味が分からず困惑していると、
「学校というところはある意味、探求心や好奇心を満たしに行くところです。
その探求心や好奇心は、家庭である程度の安心感や自己肯定感を持つことで生まれてくるものです。
今の智くんは酷い心的外傷からの回復過程にいます。もう少し安心感や自己肯定感が大きく育つまで、志村さんの側に置いてあげないといけませんね」
って、説明してくれた。
先生にそう言われて思った。
確かになって。
人が一生掛かっても出くわすことがないような不幸を5才にして経験したんだ。
1年やそこらで、他の子どもと同じように学校に行けって言う方が間違ってるなって。
だからその日から、一切学校に行けって言わないでいた。
ただ学校は何をするところで、実際何をしているかなんかは、折に触れ話して聞かせた。
そして智が望めば勉強も教えた。
読み書き計算はもとより、体育と称してかけっこをしたり、課外活動だと言って近くの河川敷に行ったり。
一緒になって楽しんだ。
そして迎えたその年の暮れ。
両親の三回忌を越えた辺りから、一際落ち着いてきていた智が言ったんだ。
「僕、2年生になったら学校に行く」
って。
俺は、それなら三学期から行けよって言いそうになったのを必死で堪え、
「そっか。
学校は楽しいぞ！」
それだけを言った。
その時智が言った『2年生になったら』って言葉は、智なりの覚悟の言葉だったと俺は理解したんだ。
だからこそ、その言葉に疑いを持つことはなかったし、三学期になっても「今から行け」とも言わなかった。
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虹(プロフ) - 葵さん» 葵さん♪こんにちは。それぞれの過去2はまだ読めません。公開できるようになったらパスワードを外しますのでもうしばらくお待ち下さい。名前変換が上手くいくかの検証のため今回は下書きにせずパスワードを付けています。すみません！ (2018年12月16日 17時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - それぞれの過去Part2を、読みたいのですがどうすれば読めますか？ (2018年12月16日 17時) (レス) id: 7f01e38703 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - Nachikoさん» Nachikoさん♪こんにちは！コメントありがとうございます(^O^)続きは公開の準備が整いましたら公開しますのでもうしばらくお待ちくださいね？これからもどうぞよろしくお願いします(^o^ゞ (2018年12月16日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
Nachiko(プロフ) - こんにちは！ 以前から読ませて頂いてます！毎回拝見するのが楽しみです♪続きが楽しみです！ (2018年12月16日 12時) (レス) id: fbc69c7e7a (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 桜＊潤さん» 桜＊潤さん♪今日も朝からコメントありがとう！多くを語らず手を掛けすぎず見守り続けた園長と大人への怒りを一旦置いて未来へと踏み出した翔ちゃん。智にぃの背中を追っかけて走りだしました。そんな姿が届いていれば嬉しいです。次partではいよいよゆかちゃんです！ (2018年12月16日 9時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月12日 9時
