変化 2 ページ15
医者の言葉を理解しようと必死で脳を稼働させていると、ふっとそれまでの堅い雰囲気を消し、
「難しく考えないで大丈夫です。
智くんは既に気付いています。あなたに全てを任せていればいいって。だからあなたは智くんの回復力を信じて今まで通り、側にいてあげて下さい。
あの子は大丈夫だと思いますよ？
生まれてからずっと両親の愛を一身に浴びて成長してきたんですから。それ故に今は辛いでしょうけど、芯は強い筈ですから」
この後、具体的な対応方法について、1時間程話してこの日は帰宅した。
薬を出されることはなかった。
この事を園に帰って報告すると、反論してくる職員もいた。
「何故もっと積極的な治療をしないのか」
「なんで安定剤をくれないの」
なんて。
だけど俺はこの先生を信じることにした。
それは薬で誤魔化してどうするんだよって思ったし、カウンセリングの短い時間で何ができんの？って思ったから。
その代わり、俺が24時間側にいて薬に変わる安定剤になってやるって思った。
今、考えるとゾッとするような素人考えだけどな。
この後の智は、医者が今後起こりうる症状として俺に教えてくれていた通りだった。
異常なまでに独りになることを恐れ、片時も俺から離れる事ができなくなった。
頭が痛い、お腹が痛いと日替わりで体の不調を訴える。
暗がりを怖がり、電気を点けたままでないと眠れなくなった。
やっと眠っても夢にうなされとび起きることも多かった。
そんな智をことあるごとに抱き締め、言って聞かせた。
「大丈夫。大丈夫だから。俺がずっとここにいるから」
って。
そんなある日、殆ど自分から話すことがなくなっていた智が、寝小便の後片付けをしている俺に話しかけて来た。
「えんちょーは、いなくならない？」
って。
「あぁ、いなくならない。絶対」
俺は瞬間的に思った。正しい答えでなくて良いって。
智はただ安心したいだけなんだって。
誰にも『絶対』なんてことはあり得ないんだけど、俺は迷わずそう答えた。
そしたら、智は…
「ぃなくな、いで。
とーちゃ、もかーちゃ、も、なくなった」
そう呟いたあと。
「うわああああああああっ！」
号泣したんだ。
「いなくなんない。もう誰もいなくなんない。
誰も智をひとりにしないから…」
俺も一緒に泣いた。
初めて両親の死を正面から受け止めて泣く智と一緒に。
それはまもなく、1周忌を迎えるという7月の暑い日のことだった。
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虹(プロフ) - 葵さん» 葵さん♪こんにちは。それぞれの過去2はまだ読めません。公開できるようになったらパスワードを外しますのでもうしばらくお待ち下さい。名前変換が上手くいくかの検証のため今回は下書きにせずパスワードを付けています。すみません！ (2018年12月16日 17時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - それぞれの過去Part2を、読みたいのですがどうすれば読めますか？ (2018年12月16日 17時) (レス) id: 7f01e38703 (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - Nachikoさん» Nachikoさん♪こんにちは！コメントありがとうございます(^O^)続きは公開の準備が整いましたら公開しますのでもうしばらくお待ちくださいね？これからもどうぞよろしくお願いします(^o^ゞ (2018年12月16日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
Nachiko(プロフ) - こんにちは！ 以前から読ませて頂いてます！毎回拝見するのが楽しみです♪続きが楽しみです！ (2018年12月16日 12時) (レス) id: fbc69c7e7a (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 桜＊潤さん» 桜＊潤さん♪今日も朝からコメントありがとう！多くを語らず手を掛けすぎず見守り続けた園長と大人への怒りを一旦置いて未来へと踏み出した翔ちゃん。智にぃの背中を追っかけて走りだしました。そんな姿が届いていれば嬉しいです。次partではいよいよゆかちゃんです！ (2018年12月16日 9時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月12日 9時
