【ars】ステップファミリー 15 (ページ5)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:190,901 hit

過労(翔) 4 ページ5

智サイド

今日は2人とも僕と寝たいなんて可愛いこと言うもんだから、和を部屋で待たせて先に潤を寝かし付けた。

それから和に絵本を読んでやって寝かし付ける頃には僕も半分夢の中。

子どもって体温が高くて横にいるだけで丁度良い温度に暖めてくれる(笑)

うとうと微睡んでいると聞こえてきたゆかの呼び声と大きな足音。

「智にぃ、翔にぃが…」

ゆかの必死さから良い知らせではないことが分かる。
ゆかが部屋のドアを開けた時には既にドアの前にいた僕。

開けられたドアから飛び出すように廊下に出ると、一気に階段を駆け下りた。

「バスルーム！」

頭上から聞こえた声を頼りに洗面所に飛び込んだ。

「どうしたの？雅紀！
えっ、翔、だいじょ…」

大丈夫でないことがすぐに分かって、出かかった言葉を飲み込む。

そのまま濡れるのも厭わずズカズカとバスルームに入ると、

「重くて動かせないんだよ智にぃ。
どうしよー…」

潤んだ目で僕に訴えてくる。

完全に冷静さを欠いている雅紀に、

「ちょっと冷静になって？
頑張って翔の体、浮かせられる？そうしてくれれば栓を抜くから。
このまま出すなんて無理だよ、僕と２人じゃ」

どう足掻いても気を失っている翔を抱え上げて、外に出すなんて無理なこと。

2人で声を掛け合って体をずらし、胸まで濡れながらも何とか湯船の栓を抜くことができた。

「翔！しょー？」

声を掛けるも反応はない。

恐らく脳貧血だろうけど、他の脳疾患も絶対にないとは言い切れないから…

とにかく意識を回復させるのが先決と思い、雅紀と2人で声を掛け続けた。

何度目かの声掛けで、翔が反応し始めたから、

「翔、わかるー？目、開けてごらん？」

ちょっと強めに肩を叩いて、体を揺らすとゆっくりと瞼が上がった。

「翔にぃー！もうっ、心配したんだからね？」

涙声で言う雅紀に苦笑する。

いやいや、まだ目を開けただけだからね？
何が原因で意識を飛ばしていたのかも、今のバイタルさえ把握できてないから、僕たち(苦笑)

でも雅紀の気持ちも分かるから、そこは突っ込まず、

「雅紀、今のうちに外に出そう。ここじゃ何もできないから…」

次にどんな症状が出るかも分からない状況で、のんびりなんてしていられない。

「あ、そうだね。
翔にぃ、2人で支えるから、何とかこっちに出るところまで頑張って？」

ゆかが気を利かして洗面所を出て行ったのを確認して雅紀と2人で肩を貸し、どうにか脱衣所に引きずり出した。