年の瀬の悲劇 5 ページ13
翔サイド
ローストチキンにミートローフ、ピザやシーザーサラダ。
食べきれないよって思っていた料理が次々みんなの口の中に消えて。
加えて大人組はビールを結構飲んで。
ホントはビールじゃなくてシャンパンかスパークリングワインを用意しようと思ってたらしいんだけど、あまりの食材の多さに諦めたんだって(笑)
そりゃそうだよ、6人分の料理を作ろうと思ったら買い物だって大変。
子どもたちに関係ないところは何だってOKだ。
さあ、そろそろケーキを食べてパーティーもおしまいかなって思っていると、
「うわ〜ん、ぅうっ、ひくっ…」
突然潤が泣き出した。
「えっ、何で泣くの？ケーキだよ？潤の大好きなケーキ切ってくれてんだよ？」
俺はオロオロ。
ケーキを切り分けてくれている雅紀とゆかも理由が分からず困り顔。
智にぃに至っては、訳分かんないって顔でぽかーんってなってる。
「どうしたの、潤。泣かないで教えて？」
「ﾋｸｯ、じゅん、もぅ、べれな…ｸﾞｽｯ」
泣きながら途切れ途切れ繋いだ潤の言葉に、みんなの困り顔が弛む。
「なんだよぉ、潤。びっくりさせないでよ！大丈夫、大丈夫。明日まで取っといてあげるからぁ。
はははっ、もうお腹いっぱいなの？」
料理だけでお腹がいっぱいになって、ケーキが食べられないって泣く潤に全員大笑い。
ケーキ大好き、スイーツ男子の潤にしたら一大事だったんだね？(笑)
すっかりしょげてしまった潤を宥めて、サンタさんにもらったオモチャで遊び始めたのを見届けてから、再び席についた。
「和も無理に食べなくて良いんだよ？」
いちごだけ食べて、フォークを持ったまま固まっている和に智にぃが言うと、
「ごちそうさまでした！
和くんも遊んで良い？」
「良いよ、行っておいで」
食に執着がない和は残すことを許されて、あっさりイスから降りると、和室に走って行った。
「対照的だね？」
「個性だね、これも。
でも2人とも良く食べるようになったよ…」
雅紀と2人見届ける。
和は好き嫌いが多くて食が細いし、潤は食べること自体に慣れていなくて。
そんな2人にゆかはあれこれ工夫を凝らして、食べやすくしてくれて、その甲斐あって違いはあっても食べることを楽しめるようになった。
「ゆかが色々やってくれたお陰だね」
俺の言葉にゆかは静かに首を横に振ると、
「そんなことないよ？これは自分のためにやってるようなものなの…
子どもの頃、やって欲しかったことをしてるだけ」
って。
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作者名：虹
| 作成日時：2018年11月25日 15時
