【ars】ステップファミリー 13 (ページ46)

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告白(雅紀) 12 ページ46

智サイド

開業したいって話は少し前に雅紀から聞いていたから特に驚くことはなかった。

だけど家を建て替えてクリニック兼住宅にしようって考えているなんて知らなくて、それにはびっくり。

だってこの家は3年前、僕が購入したときに、ある程度リフォームしているから。そもそもまだ築10年も経っていない家なんだよ？

引っ越すにしたって、この家はどうするのってなるし。

その辺りに戸惑いと不安を持ちながらも、僕の中では嬉しい気持ちの方が圧倒的に大きいから、言葉も表情も柔らかくなっているのが自分でも分かる。

雅紀がたくさんの人に愛されていて、いつでも力になるよって言ってもらえるのは、雅紀の人柄。それが分かって自分の事のように嬉しいんだ。

「最短て言っても、現実的に考えていつ頃になりそうなの？
看護師の資格だって准看でも2年はかかるよ？」

それに復帰したばかりの仕事を来月で辞めますなんてことはできないし…
そんなことを踏まえて訊いてみた。

「あひゃひゃ、だよね～？
最短て言っても、俺が思うに早くて2年後。遅ければ4年後。
智にぃが言うように、看護学校に通うだけで2,3年は必要だから。でもね、ゆかが看護師になるのを待って開業って風には思ってないんだ。そんな事したら、ゆかへのプレッシャーが半端なくなるでしょ？ゆかがいてもいなくても看護師の1人や2人雇うことになるからさ」

ゆかのこともきちんと考えていることが分かって安心した。
僕がそう伝えると、『当たり前じゃん！』って。

そりゃそうだよね？ゆかを好きになって、2人で将来を考える中で描きはじめたビジョンなんだろうから。

「じゃあ、今の病院にはあと2年位はいるってこと？」

僕も聞きたかったことを翔が代わりに聞いてくれた。

「ん～、それはまだ分かんない。色んな事が進んでいくと忙しくなってくるだろうから。
それは様子を見ながら決めようかな？
でも最低でもあと1年半はこのままの予定」

雅紀のことだから心配は無用だろうけど、辞めることを告げるタイミングって大事だからね。

開業したって何もかも1人の力でやれる訳ではない。クリニックで手に負えない患者がいたら、当然どこかの病院に紹介することになる。

だから総合病院と良好な関係を保っておくことは、成功する上で重要なんだ。

「じゃ仕事をそういう形でやりながら、今の家族構成を維持するってこと？」

今回の話し合いで一番慎重に話さなければならない所へと、話題をふった。