【ars】ステップファミリー 13 (ページ36)

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告白(雅紀) 2 ページ36

翔サイド

雅紀が突然『大事な話がある』と言い出し、思わず動きを止めてしまった。

そして俺の頭の中は、フル回転で『何の話か』を弾き出そうと躍起になっている。

何か悪巧みをした時や、サプライズを思い付いた時でも『大事な話があるから聞いてよ！』なんて言ってくるけど、今回はそんなことではなさそう。

それは今の雅紀の余裕の無さが、俺にそう告げている。

カップをテーブルに戻し、

「何だよ、改まって！
良いよ？別にすることなんてねえし、明日も明後日も休みだから。どんな難題を持ってこられても大丈夫(笑)」

深刻そうな顔をしている雅紀に、笑いを交え"緊張しなくても良いぞ"の気持ちを籠めて言ってみたんだけど。

どういう訳だか雅紀の顔は更に強張った。

「ふふっ、雅紀、なんて顔してんの？
そんなに言いにくいことなの？何を言っても怒ったり、否定したりしないから。普段通りに話して？」

智にぃの言葉を聞いた雅紀は、改めて深呼吸をして、背筋をピンと伸ばし、話始めた。

「俺、ゆかのこと、好きになった。
家族に対する『好き』を遥かに超える『好き』なんだ…」

全く予想していなかったその言葉に、頭が真っ白になった。
みっともなく口を開けたまま、何の言葉も思い付かず、ただ呆然としていた。

「うん、それで？」

智にぃの声が聞こえたことで、少しだけ現実感が戻って、

「ちょ、ちょっと待って！
智にぃもなんで『それで？』って、話を先に進めてんだよっ。

俺、まだ全然わかってない…
そう、好きってなんだよ！どういう意味だよ。

いつから？何で？
って、疑問だらけなのに、話を進めんなよ、勝手に！」

人間、びっくりし過ぎると、怒り出すんだってこの時、知った。

別に俺は怒りたかった訳ではないのに、何故か口調は乱暴になるし、一方的に喋ってしまうしで、軽いパニック状態。

「翔、何パニクってんの？ちょっと冷静になってよ。そんなに驚くことでもないでしょう。年頃の男女がひとつ屋根の下で暮らしてれば」

そうだけど…

いや、それでもやっぱり何で？だよな。

もう頭がショートしそうになってきて、苦し紛れに頭をブルブルっと振った。

「翔って、もしかして全く気付いてなかった？僕はちょっと前から『良い感じ～』って思ってたから、そんなには驚いてないけど…」

うそ…

俺だけ気付いてなかった。ってこと？

もう、ダメだ…

完全にキャパオーバーだ…

俺は考えることを放棄した。