【ars】ステップファミリー 13 (ページ4)

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一番が良い！(和也＆潤) 4 ページ4

翔サイド

もうプチパニック(笑)

雅紀は『いつも仕事で見てるじゃん！』つうけど、それとこれとは、ねぇ？違うじゃん。

そりゃあ、サラリーマンやってる独身男とは違って、普通に抱っこしたりはできるけど。

なーんて呑気に考えていたら、赤ちゃんが泣き始めた。

「てか、この子の名前は？」

雅紀に訊きながら、赤ちゃんを抱っこする。

まだ首も座ってなくて、そっと首の後ろに手を入れて抱き起こす。

生後2週間の割りには体は小さくて。3000あるかないか位だ。

だからほぼ両手に収まる位のサイズ。１ヶ月検診に来るより小さい赤ちゃんに触れることは、あまりないんだよなぁって思いながらそっと腕に包み込むように抱き変えた。

「ののかちゃん、って言ったかな？」

ののかちゃんか。

「ほんぎゃ、ほぎゃ～」

って柔らかい泣き声を上げるから、

「よしよし、何で泣いてるんでしゅか～」

って言ってしまって。

案の定、雅紀がニッて笑って、

「翔にぃが赤ちゃん言葉使ってるの新鮮！」

って、囃し立てる。

「うっせ！しょうがないだろ？癖になってんだから」

憮然として言ってみるけど、腕の中のののかちゃんを見るとそんなのどうでも良くて。

「で、ミルクはいつが最終？お腹空いてんのかも」

「え？特に聞いてないけど、もうすぐ俺たちも晩御飯だからそろそろじゃない？」

何がえ？だよ！

こっちがえー？だわ！

「おい、雅紀。まさかこんな小さな赤ちゃんが1日3回の食事だなんて思ってないよね？」

ちょっと低い声でそう言うと、キョロキョロ視線をさ迷わせながら、

「ま、まさか…
嫌だなぁ、翔にぃったら。そんな訳ないじゃん」

だって(笑)

あんまり苛めんのは止めてやろうと思って、

「はははっ、この位の子だと3時間位かな。母乳だともっと短い子もいるけど、この子はミルクだから、その位だと思うよ」

って教えてあげた。

「えっと…
もうここに来て2時間位になるから、じゃあそろそろなんじゃない？」

時計を見ながら言った雅紀は、慌てた様子でミルクの缶を取り出した。

「でさ、智にぃはいつ帰ってくんの？この子のミルクの量とか間隔とか聞いてるはずなんだけど」

だけど智にぃが帰って来るまでずっと泣かせておくわけにはいかないからね。

「取り敢えず100mlでいいや。缶に作り方書いてあるから作って？」

俺たちがこんなやり取りをしているのを和や潤がどんな思いで見ていたかなんてこの時俺は、考えもしなかったんだ。