【ars】ステップファミリー 13 (ページ12)

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一番が良い！(和也＆潤) 12 ページ12

翔サイド

もう9時を過ぎているというのに、ドタドタと大きな足音を鳴らして、階段を駆け上がり潤の元へ急いだ。

そもそも潤が2階に寝ることになったのも俺の一言が原因だった。

雅紀が『まだ潤は不安定だから、和室で寝かせた方が良いと思う』ってアドバイスしてくれていたのに…

潤が泣いたら、ののかちゃんまで起きるからって潤を2階に行かせてしまったんだ。

「んぎゃああああ！」

泣き叫ぶ潤を目の当たりにして、俺は深く反省。

「あ～潤、ごめんな。パパずっと一緒にいれば良かったな？ごめんよぉ」

これは多分、夜驚症の再発。

睡眠障害の一種で小さな子どもに起こるもの。今の潤は過覚醒状態から抜けきっていないから。
無意識に独りで寝ることに不安を覚えたのかもしれない。

深い眠りの中で起こるこの病気。昨日までは浅い眠りで、すぐに起きては泣いていたらしいから、せっかく眠れたのにって思うと、余計に可哀想だった。

暴れる体を抱き締めて、俺の体温を伝える。

ほとんどの場合5分以内で治まるから、それまで安全確保を兼ねて抱き締めててやろう。

そう思っていたんだけど、

「うわああああ～ん！ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯｵｪｹﾞｪ～」

泣きすぎて、嘔吐してしまった。

「おっ、と。あ～しんどいなぁ。良いよ、全部出しちゃいな？」

睡眠状態の潤に何を言っても聞こえていないだろうけど、吐き戻す潤に声を掛け続ける。

「もう出ないかな？
あ、泣き止んだね？よしよし、もう大丈夫だな？
ちょっと待ってよ？今着替えさせてあげるから」

吐瀉物で汚れてしまった俺は身動きが取れなくて、シーツで手を拭いポケットに入れていたスマホを取り出しヘルプを呼んだ。

すぐに雅紀が駆け付けてくれて、

「あちゃ～派手にやったね？噎せちゃった？」

テキパキパジャマを脱がせながら訊いてきた。

「ん、たぶん。かなり泣いてたから、刺激になったんだと思う」

「ちょっと待ってて？ホットタオル作ってくるから」

裸にした潤を比較的汚れてないタオルケットでくるんで部屋を出て行った。

暫くして戻ってきた雅紀にキレイにして貰った潤は、何事もなかったようにそのまま寝てくれた。

「翔にぃも着替えて？」

雅紀に促されて、パパっと着替えた俺は、

「サンキュ雅紀。このままちょっと潤のこと見てて？俺、和も心配だから見てくるわ」

何の根拠もない気まぐれのようなものだったけど、俺は和の顔を覗きに行って…

「うそ？…」

その場に立ち竦んだ。