一難去ってまた一難 8 ページ9
雅紀サイド
昼を過ぎても起きてこないゆか。
日頃の疲れが出てぐっすり眠ってしまっているんだろうと思い、俺にできることをやっておこうと、布団を干したり、もうすぐ使うであろうビニールプールを洗ったり。
天気が良い日にしかできない事を沢山やった。
それにしてもゆかのヤツ起きて来ないなぁ。
流石に１時を過ぎても起きて来ないと心配になってきて、様子を見に行くことに。
2階に上がり、部屋をノックする。
けど、返事がない。
「ゆか？まだ寝てる？」
声を掛けても返事がなくて、俺は更に不安になる。
「入りまーす」
女の子の部屋に勝手に入るなんて経験がないから、疚しいことは何もないのに、妙にドキドキする。
恐る恐るそっとドアを開けると、ベッドに丸まって眠るゆかの姿が。
「ゆかーもうお昼過ぎたけど、ご飯どうする？」
何が食べたいのかも聞きたい。
「んっっ」
眉をひそめ、思いっきり辛そうな顔をする、ゆか。
その様子を見た俺は、反射的にゆかの額に手を伸ばしていた。
「あっちー」
びっくりする位高い熱が伝わって来る。
「ちょっと、ゆか大丈夫？てか、大丈夫じゃないよな。
ゆか、目開けれる？」
俺って開放骨折とかのグロテスクなのは平気だけど、こういう内科的なのって苦手。
何かオロオロする。
でも気を取り直して、もう１度呼び掛ける。
「ゆかー！」
ゆっくり瞼が上がり、視線が絡み合う。
「良かったー、もうっ、心配したじゃん！
凄い熱高いけど、何か症状ないの？
やっぱり病院行っておけば良かったな？」
「しんど〜い。頭、いた〜い」
そりゃそうだろうね。目を覚ました途端、スッゴい甘えたちゃんになって、どうしたものかと悩んでしまう。
「しんどいよな？今から病院行こう？こんなに熱が高いのに放っておけないよ？」
背中に腕を入れて起き上がらせると、それだけで頭痛が酷くなるみたいで、顔を歪ませた。
「取り敢えずさ、下に行こう？和室に布団用意するから、な？」
「でも、歩けな〜い。もうヤだ〜」
こんなグダグタのゆかを見るのは久し振りで、甘えられるのも悪くないなって思った。
いつもはにぃたちに甘えてばかりの俺だけど、にぃたちもこんな気持ちで俺に、
『しんどい時は甘えて良いよ』
って、言ってくれるのかな？
「俺がおんぶして行くから、大丈夫だよ？」
もっと抵抗するかなって、思ったけど背中を向けると、あっさり乗ってくれた。
良かった(笑)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月7日 15時
