一難去ってまた一難 5 ページ6
翔サイド
何度も同じ事を繰り返し話して聞かせ、やっと潤に理解させることができた。
…はず。
1度に全てを分からせるのは無理でも、続けていくしかないなって思った。
子育てって、ホント忍耐だって実感。
潤の手を引き、既にテーブルについていた和の側に連れて行く。
「はい、何て言うんだっけ？」
促すと潤は素直に、
「めんしゃい…ぱちん、めんしゃい」
潤なりに一生懸命謝っている。
「和？潤、叩いてごめんなさいだって。どう？」
ちゃんと伝わる様に、フォローを入れる。
「いいよ、潤くん。ぱちん、しないで？ね？」
「いいよー(ﾆｺｯ)」
んー、このやり取りってビミョー(笑)
でも、何て言ってやれば良いのか分からないし、和が納得していれば良いかなと思ってそのままスルー。
「和、もう痛くない？ご飯終わったらさっきの分、抱っこしてやるからな」
頭をクシャっと撫でてやると、和も潤に負けない位、ニコッと笑った。
「はい潤、お手々洗いに行くよー。急がないと遅れるよ？」
ケロッとして通常モードに戻っている潤の手を引いて洗面所に急いだ。
椅子に座らせると、いつも通り凄い勢いでフレンチトーストを口に運ぶ潤。
そんな潤から視線を外すと智にぃと目が合い、
「もう普通だね」
ってニヤッと笑っている。
その横でノロノロとパンを口に運ぶゆか。
どうしたんだろうと思い声を掛けようと思った時、
"ｶﾞｼｬﾝ"
潤が手に持っていたマグカップをお皿の上に落としてしまった。
「あ〜ん！じゅんのパンー」
思わず『そこかい！』って突っ込みそうになったけど、グッと堪え、
「あ〜滑っちゃったか？大丈夫、泣かなくて良いから」
「潤、ほらパンあげるから、泣かないで」
朝からドタバタ続きで、この時ゆかが自分のパンを食べずに差し出してくれたとも気付かず、
「良かったな、潤。もうこぼさないように食べなよ？」
なんて、呑気なことを言っていた。
「翔、急ごう。もうこんな時間だよ？」
「マジかー。これだけ…」
俺はお皿に残っていたフレンチトーストを口の中に押し込み、すっかり冷めたコーヒーで流し込んだ。
それでも、約束は果たさなきゃと思って、
「和、抱っこする？今しておかないと、パパ今日お泊りだから明日の夜までできないけど？」
食べてる途中だからと思ってそう尋ねると、
「する〜」
うん、知ってた。
ご飯より抱っこだよね、和は(笑)
両手を差し出す和を抱き上げ、ギュッと抱きしめた。
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月7日 15時
