お腹が痛い(和&潤) 18 ページ49
智サイド
ちょっと退行気味って翔から聞いたから、それとなく和を観察中。
確かにいつもなら一人でできる事でも、翔に全部やってもらってる。
そもそも自分でヤル気がない。
今も翔の膝の上に座って、雛鳥のように箸が近付いてくると"あ〜ん"って口があく(笑)
ま、大人でも病気して体が辛くなると誰かに頼りたくなったりするから、5才の和ならそんなもんかなって思うけど。
食べさせてもらってはいるものの、結構な勢いでうどんを食べているから、胃腸炎の方は大分良いのかな。
「和、もうおしまいにしよう。ちょっと食べ過ぎ。またぽんぽん痛くなったら嫌だろ？」
「ははっやっぱり？僕も良く食べてんなって思ってたんだよ。でも翔が食べさせてるし良いのかなって思ってた」
「いやいや、これ以上はダメ。元々そんなに食べないのに…」
そうだよねって誰もが納得して、不満そうに口を尖らせる和を見ていると、
「うわ〜ん！パッパー、」
声だけで不機嫌、って分かる。
「おっと、お目覚めだ。俺見てくる！」
雅紀がパタパタと走って行ったと思ったら、
「翔にぃ、来て！」
って、大声がした。
丁度口に酢豚を頬張ったところだった翔は、
「ひょっと、ほめん！(ちょっと、ごめん！)」
って、和を僕に渡して和室に行った。
和室からは、
「おい雅紀、グローブ着けろ！
じゅーん、泣かなくて良いよ〜？すぐにキレイにしてやるからなぁ？」
「先にライン拭いてくれる？翔にぃ」
わちゃわちゃやっているのが分かる。
おおよそ何が起きているのかは想像できて、潤の症状の酷さに不安が増す。
「ねぇ智にぃ、潤だけ何であんなに酷いの？」
って、ゆかが素朴な疑問をぶつけて来た。
「ん〜何でって明確な理由は分からないけど、恐らく年齢とか体の大きさとかで違うんだと思う。あとはたまたま体に入ったウイルスの量が多かったとか？」
あとは体質とかもあるかなぁ。可哀想だけど、それはどうしようもない。
もっと酷い子だっていて、中には入院する子だっているから。
でも和を見てこれくらいの症状って思っているところに、潤のような酷いのを見ると不安になる気持ちは分かる。
「ちょっと智にぃも来れる？和はゆかがに預けてー」
あらら、余程大変な事になってるんだな。
「和、ゆかねぇが抱っこしてあげようね？おいで〜」
和はゆかに柔らかい笑顔を向けられて、何の躊躇いもなくその手に小さな手を伸ばした。
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月7日 15時
