お腹が痛い(和&潤) 14 ページ45
智サイド
「じゃ、気を付けて行っておいで。城島先生によろしくね？」
「うん、ちゃんと言っとく〜！じゃね、行ってきま〜す」
早く職場復帰したいという想いから、週1回の通院を順調にこなしている雅紀。
僕たちは傍で見守る事しかできないけど、少しでも力になってあげたいという気持ちだけは、持ち続けていたいと思っている。
「1番暑い時間に出掛けるのは大変だね、まーにぃ」
「そうだね、それでも行ってるって事はそれだけ早く治したいっていう想いの現れじゃない？」
雅紀の想いを代弁できるとは思ってないけど、気が付いたらそんな言葉を発していた。
「疲れて帰ってくるだろうから、まーにぃの好きなメニューにしようかな、今日の晩ごはん」
みんなが優しさをそれぞれの方法で表現していて、その空間に自分もいられる事が凄く幸せだと感じた。
そんなことを考え、ふわふわと良い気分になっていると、急に潤の泣き声が聞こえて来た。
昼寝をしていたのに起きて誰もいないから泣き出したのかと思い、和室に急いで行き和が起きない様にと、潤をリビングに連れ出した。
「もう起きちゃったの？まだ眠いでしょ？」
そう言って顔を覗き込むと、顔色が真っ青なことに気付いた。
「潤、どこしんどい？パパに教えて？」
そんな余裕はないのか、弱々しい声を上げて泣くばかり。
「お腹痛いのかな？」
ゆかも洗い物の手を止めて、側に来てくれた。
「ん〜痛いともっと激しく泣くと思うんだけど…」
何だろうと考えていると、吐き気がするみたいでえずき始めた。
「ゆか、ガーグルベース持ってきて？」
背中を擦り顔を見ながら、
「潤、大丈夫だからなぁ」
大きな瞳がうるうるしていて、見ている僕まで苦しくなる。
「ありがとう」
持ってきてもらったガーグルベースを口元に当ててやったけど、なかなか吐けないみたいで辛そう。
ますます顔色が悪くなって来た。
早く吐かせてあげないと、可哀想だなって思っていると、体を捩って『ふぇ〜ん』って泣き声をあげ、次の瞬間大量に嘔吐した。
お昼ご飯に食べた物がそのままの状態で出てきてる。
「潤もう出ないかな？」
嘔吐は止まっても、大量に唾液が出てくるのか口からポタポタと涎が垂れている。
でも嘔吐して、顔に赤みが射してきた。余程気持ち悪かったんだね、可哀想に…
「ちょっとスッキリしたかな？」
うがいさせようかなって思っていると、ゆかが水とタオルを持ってきてくれた。
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月7日 15時
