【ars】ステップファミリー 10 (ページ30)

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一難去ってまた一難 29 ページ30

智サイド

翌日。朝からまたまた愚図る２人を何とか宥めて、朝ごはんを食べさせて。

ゆかが入院して初めて分かったこと。子どもたちがこんなにもゆかが大好きで生活に不可欠になっていたってこと。

こうやって愚図られると困るんだけど、ちゃんと家族として機能しているっていうのを確認できて僕的には満足。

もちろん誰も病気なんかしない方が良いんだけどさ？
そうならないと分からない事だってあるから。

今回のことで和や潤がゆかのことを慕っていて、家にいないとこんなにも不安定になるって分かった。
それは和や潤の中で母親代わりとして認められているからだと僕は捉えた。

特定の人に愛着を持って成長することは大切なことだから。

朝食後、簡単に片付けを終わらせた僕たちは病院へと向かった。

ゆかに会えると知った和たちは、一気にテンションが上がって、車の中はいつもにも増してわちゃわちゃ(苦笑)

「和、潤、病院に入ったら騒いじゃダメだよ？しんどい人がいっぱいいるんだからな？」

翔が2人に言って聞かせている。

「はーい！」

返事は凄く良いんだけど、どこまで分かっているのかねぇ…

案の定、病院に入ってもテンションは高いままで、翔も苦笑いを浮かべている。

"ｺﾝｺﾝ"

ノックしてそっとドアを開けると、テレビを見ていたゆかが振り返ってこちらに視線を移した。

「ゆかねぇ！大丈夫？」

ベッドまで走って行った和は、何の躊躇いもなく靴を脱ぎ捨て、ベッドに上がった。

それを見ていた潤は、

「あー、あーぁ、じゅんもー！」

焦るとまだまだ上手く話せない潤は、ゆかを指差し、必死でアピールしている。

「分かった！分かったから、シーね？」

翔は抱っこしていた潤と一緒にベッドサイドに立った。

そこから転がり落ちる様にしてゆかのベッドに乗った潤は、何故だかドヤ顔でゆかの足の上に座っている。

「良かったな？潤。
ゆかも良かったなー。2人に会いたかったでしょ？」

雅紀に言われて、ゆかも、

「ぅん、会いたかった…
早くお家に帰りたいよぉ」

って、本音がポロリ。

和と潤に腕を回して愛しそうに見つめる目は、母親のそれと同じだった。

「このまま悪化しなかったら、明後日には帰れるからもう少し我慢ね？」

「もう入院なんてヤダ…」

そう小さく呟き、和と潤をグッと自分の胸に引寄せた。

それから他愛のない話をしていた僕たち。

気が付くと潤はゆかの胸にくっついて、和は足に頭を乗せて眠っていた。