【ars】ステップファミリー 10 (ページ20)

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一難去ってまた一難 19 ページ20

翔サイド

ゆかは高熱の中、エコーやらレントゲンなどの検査でヘトヘトになっていて、昼に顔を出した時には、食事もせずに眠っていた。

俺は自分の病棟を軽く見回って、用がないのを確認。

「じゃ、今日はもう上がりますんで。お疲れ様でーす！」

口々に労いの言葉を掛けてくれるナースの間を通り抜け、俺はロッカーに向かう。

智にぃに覚悟して迎えに行けと言われたけど、そんなに酷いのって半信半疑。

潤なんていつだって、イヤイヤ全開で我儘言い放題だから、そんなに変わんないんじゃないのって内心思ってて。

どんなに我儘言われても我が子だからね、可愛さは変わらない(笑)

そんな事を考えながら、にやけてしまう顔を必死で整えて、保育園に向かう俺は相当重症かも…

いつからこんなに親バカになったんだろう(笑)

覚悟して行けと言われてるのに、足取り軽く、何ならウキウキしてる俺って、やっぱり親バカだ。

「お世話になってまーす！」

元気に和の教室に入ると、部屋の隅っこで指しゃぶりをしながら、絵本を読んでいる和を発見。

「和、ただいまー！お家に帰ろー」

近付くとすくっと立ち上がって、足にくっついて来た。

「ふふっ、どうした？」

抱き上げると首もとに顔を埋め、

「ふぁふぁー」

小さな声で俺を呼び、チュッチュッと音を立てて指を吸っている。

「和、手々おいしい？」

ちょっと意地悪に聞いて顔を覗いてやると、

「ぅ～ん」

言わないでとでもいうような声を上げる。

「はははっ、ごめんごめん。もう言わない(笑)」

片手で抱っこしたまま、荷物を取って、

「ありがとうございました。和、さよならは？」

「ばぁばーい」

指をくわえながら、顔は俺の肩に埋めたまま言う和。

「ははっ、和くんお疲れかな？あんまりお昼寝もできてなかったもんね？ゆっくり休んでまた来週元気で来てねー」

「和、お返事は？」

「ゃーや！」

苦笑いを浮かべた先生に見送られ潤の教室に行く。

こっちは更に酷いかも…
覚悟して部屋に入ると、

「あ、お帰りなさい。潤くん寝ちゃったんですよー」

って。

流石、自由人の潤らしい(笑)

「和、潤寝んねしてるから抱っこしてあげなきゃだから下りてくれる？」

「やー！和くんも抱っこぉー」

「あらら、寝てる子と和くん２人を抱っこして行くのは無理ですね。僕が潤くんを抱きますよ」

「すみません、お手数お掛けします。じゃあ車までお願いします」

自由人と甘えん坊を車に乗せ、家路を急いだ。