【ars】ステップファミリー 10 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:46 hit、合計:260,386 hit

一難去ってまた一難 13 ページ14

ゆかサイド

とにかく体が辛くて、目を開けているのさえしんどくて…

採血とレントゲンを撮っただけの検査だったのに、残っていた体力の全てを奪われた。

結果待ちで処置室のベッドに横になったら、あっと言う間に意識を手放した私。

しっかりしなくちゃ…
みんなに心配かけちゃう…

そう思えば思うほど、体も心も辛さが増して行って、どうにもならなくて…

誰かの話し声が聞こえて来て、ゆっくりゆっくり、意識が浮上していく。

『…家で何とかなんない？』

『ここまで酷いと入院した方が絶対早く治るよ？それに家にいたらちびちゃんたちが騒がしくて休めないでしょ？』

『そこだよなー、問題は。
大人しくしてなって、言っても分かんないからなー』

途中でしっかり目覚めていたけど、話が途切れるのをそのまま、待っていた。

『それは無理でしょう？4,5才の男の子に静かにしてろなんて言うのは。
一家の主婦がいなくなるのは、大変だろうけど何とか頑張って？』

『分かった。早く治さないとゆかが可哀想だもんね』

会話が途切れたのを見計らって、コロンと寝返りしたら、

「ゆか、起きた？ちょっと話聞けるかな？」

優しいまーにぃの声が耳元でしたから、ゆっくり目を開ける。

まーにぃの長い腕が伸びてきて、そっと頬に触れる。

「ゆか？さっきの検査ね、あんまり良くなかったんだ。
血液検査したでしょ？それで、体のどこかに酷い炎症があるんだ。
そのせいで高い熱が出てるんだけど、入院して点滴で抗菌剤入れてあげた方が良いんだ」

「…やだ。嫌だー」

子ども染みた事を言っているっていうのは分かっているけど、入院なんてホントに無理。

「そんな我儘言わないの。何で嫌？」

「……」

「理由はなくても嫌、ってこと？」

まーにぃが言うように、特に明確な理由はない。

だけど、いつも騒がしい位賑やかな家から、ひとりぼっちで病院なんて…

「ゆかの気持ちは分かるけど、体を治す方が大事だよ？
和たちを保育園に送って行ったら、会いに来るから、な？」

まーにぃの優しい言葉を聞いて、別に泣きたかった訳ではないのに、ポロポロ涙が出てくる。

「じゃ、手続き進めるね？
翔くんには私から連絡しておくね？診察の結果、『教えろよ』って言われてるから」

北川先生とまーにぃが話している間も、涙が止まらない。

「ゆっくりで良いから、車イスに移ってね？」

北川先生の言葉を聞いて、まーにぃが頷いた。