一難去ってまた一難 12 ページ13
雅紀サイド
"ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ"
と、鳴った電子音がやけに大音量に聴こえた。
先生が取り出した体温計のディスプレイを先生の肩越しに見た。
『40.1℃』
高いとは思っていた。
だけど俺の予想を遥かに越えるその数字に驚いて、
「えーっと、故障、してないよね？」
そんなあり得ない確認をしてしまう。
「凄い熱ね？いつから？」
軽くスルー？(苦笑)
「余りにもぐったりしていて慌ててたから家では測ってないんです。
俺が熱があるって気付いたのは昼過ぎで。
ゆか？いつから熱っぽかった？ちゃんと答えて？」
ゆかを見ると、不安げで今にも泣き出しそうな顔をしている。
それでも、言うしかないと思っているらしくて、小さな声で話始めた。
「えっと、一昨日の夕方から体が怠くて、昨日はずっとしんどかった、かな？
で、今朝起きたら、すっごくしんどくて…」
「そっか。2日も我慢したら悪くなるのも仕方ないわね？
咳とか体の痛み、その他何かいつもと違う事は？」
「咳は夜ベッドに入ると、出てくる感じです。今朝からは、咳より息苦しいのが辛くて…」
「喉とか一通り診たら、採血と胸のレントゲンね？」
この後の予定をサッと説明した先生は、聴診を始めた。
今度はゆかに背中を向けるようにして立ち、診察が終わるのを待った。
「じゃ検査に行ってきてね？血液データが出るまではどうする？
座っているのが辛ければ、処置室のベッドで休んでて良いわよ？」
「ありがとう。じゃ早く検査行こう。で、休ませてもらうな？」
自力で起き上がることもできないだろうと、サッと抱き上げ車イスに乗せる。
一瞬抵抗しようとしたのか、体に力が入ったけど、それさえも辛いらしく、すぐに力が抜けた。
血液検査、レントゲンと回り戻って来ると、疲れて身動きひとつ取れない位になっていて。
待っている間、良くない結果が次々と頭の中に浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返していた。
ただの風邪でここまではならないと思う。
いくら俺が整形の医者でも、ここまでぐったりしていたら、ろくでもないことが起きていると予測できる。
結果を聞くのが、恐ろしいよ…
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月7日 15時
