36 玄弥の兄 ページ39
目の前に宇髄先生の整った顔立ち。
今にもその大きくて逞しい体に包み込まれそうで、少し動けば唇がくっつきそう。
「〜ッ、宇髄せんせ…」
きっと私の顔は赤い。
この状況からどう脱却したら。
突然の事に働かない頭で必死に考えようとした時、
グイッと、左肩が後ろに持ってかれた。
「酔い過ぎだァ。距離を考えろォ。」
先生は宇髄先生を睨み、私を宇髄先生から引き剥がした。
「ヤケになって〜。別に意識はあっから酔い過ぎてるつもりねーけど？」
「ダメな行動の判断が付かねェことのどこが酔い過ぎじゃねェんだ。」
はいはい、と宇髄先生は不死川先生をはぐらかす。
少しだけ顔の熱が引いた。
不死川先生に触れられた左肩だけ熱い。
「で？名前で呼ばねーの？」
「…」
先生は依然宇髄先生を睨みつけて喋らない。
無言の圧で何かを訴えてるよう。
「じゃあ１回だけ！な？1回だけ呼んでみなって。ここで練習すれば今後も呼べるって。」
「ハァ？」
恥ずかしくて呼びたくないのか、よく分からないけど、だいぶ名前で呼ぶことを渋っている。
「ホラ言え。お前の口からAって言ってるの聞かない限り俺は何度でも言うぞ。」
凄い執念。
でも私も1回でいいから呼んで欲しい…
「私も聞きたいです…」
そう言うと先生は大きくため息をついた。
「ﾁｯ…言えばいんだろ言えばァ。
･･････A･･･。｣
『A』
その瞬間、昔の実弥さんとの日々の思い出が脳内を駆け巡った。
凄く懐かしい響き。
ああ、ずっと浸ってたいな。
こんなにいいものなのか。
先生は今なんとも思っていなくても、
その声に愛おしさすら感じてしまう。
心を揺さぶられ、泣きそうになるのを堪えて、私は精一杯の笑顔で「はい」と返事した。
「…ッ、あーッ」
すると先生は私から顔を背け、耳を真っ赤にさせてトイレの方へ足早に去っていった。
「え？」
「まあアイツは不死川玄弥の兄貴ってことよ。」
宇髄先生は良かったじゃねえか、と頬杖を付き二ヒヒと笑った。
「ずっとあんな感じだし、お前があんまり苦しむとこっちも辛いからよ。ああやって弄ってやろうと思ったんだ。」
「宇髄先生…」
必死に隠そうとしていたつもりだった。
でもやっぱり宇髄先生にはバレるんだ。今も昔も。
「
そう言うと宇髄先生はゆっくり顔をテーブルに近づけ、そのまま寝息を立てた。
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さらりとクマ(プロフ) - nさん» ええええええ？！天才…？！ぷろ…？！全くもってくそくそど素人ですが、そのようにお褒め頂けてハッピーです…！続編の更新の方もう暫しお待ちくださいませ…！コメントありがとうございます！！！ (2021年10月23日 12時) (
レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
n - この小説書かれた方、、天才ですか❓話の構成や、ラブシーンも上手すぎます。。。プロの作家が書いてるのかな。と、疑ってしまいます。 (2021年10月20日 23時) (レス) id: 2858fa56d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 私は風柱様ひとつじだどね粉雪ちやんも風柱様にほれたんじやないかなここにきて (2021年10月2日 10時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 粉雪さん» あっらー！粉雪様！いつもお読み頂き誠に有難うございます！！いいではありませんか推し変！！でも煉獄さんもかっけーですよねぇ…完結までには不死川さん推しになってるように推し変パワー込めてお話書きますね！？頑張りますーー！！ (2021年9月5日 22時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
粉雪 - 前世のお話から読んでます！いつも楽しませて頂いております。私は煉獄さん押しなのですが、この作品を読むたびに不死川さん押しに転換しようかと思ってしまいます…！これからも楽しみです！応援しております！ (2021年9月5日 14時) (レス) id: 33866b80ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さらりとクマ | 作成日時：2021年7月18日 21時
