戻れない ページ40
…やっぱり…?
やっぱりどういうこと?
私は、私は…
「お前が俺に気があると思い上がってた俺がバカだった。」
!!
違う、私は不死川さんのこと…
重たい空気に威圧され、言葉が出ない。
「やっぱりお前は俺の事柱の先輩としか見れてねェから、今拒んだんだろ。
昨晩は酔ってたから、俺じゃなくても他のやつと接吻してたのかもなァ。」
違う。
私は不死川さんの事、男性として見てて、好きだと思ってる。
確かにお酒を飲んで記憶が無かったけれど、興味無い人とは絶対したくないと普段思ってるから、酔ったとしても不死川さん以外とは絶対しない自信がある。
すると、不死川さんは吐き捨てるように言った。
「もう二度とこんなことはしねェ。
迷惑かけたな。もう帰れやァ。」
「違います…全部違います…!さっき突き飛ばしてしまったのは」
あなたが好きすぎて、心臓が持たなかったからと言おうとしたのに
「俺の気も知らねェで。いいからもう帰れ。」
そんな、ちゃんと聞いて欲しい。私の気持ち。
「待ってください、私…」
その時だった。
「帰れっつってんだろォ!」
「…ッ!」
不死川さんは下を向いたまま、怒鳴って怒りを顕にした。
「二度と話しかけんなァ。」
ああ。もうダメなんだ。
もう元にすら戻れない。
あの時みたいに楽しい時間は過ごせない。
もっと不死川さんと…
私は泣きそうになるのを懸命に呼吸で整えて、感情を殺して、いつもの私に戻った。
「…分かりました。失礼します。」
短く早口で言わないと、いくら感情を丸め込んでも隙あらば口から出てしまいそうだった。
私は不死川さんの屋敷を出た。
まだ昼前。
ほかの柱たちはまだ起きてないだろう。
誰にも会うことはないと思うと少し安心した。
早歩きで自分の屋敷に向かった。
ずっと呼吸を意識した。
屋敷につき、ガラッと玄関の戸を開け、素早く閉めた。
その瞬間、涙が溢れ出た。止めたくても止まりそうもなかった。
「何で…」
なんで、こうなってしまったんだろう。
もうダメなのかな。
この想いすらも伝えられないまま終わってしまうのか。
私はそのまま玄関に崩れ落ち、鎹鴉の総二郎に任務の伝令を言われるまでずっと座り込んでいた。
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ゆみ - わたしもさねみさんもくまさんも凪子さんのこと見守てるから (2022年4月25日 23時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 泣いてくれてありがとう凪子さんわたしもだいすきなさねみさんとここで恋仲になれてうれしいもん (2022年4月25日 23時) (レス) @page47 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 凪子さん» え?!あ?!泣かれましたか?!お目目腫れてませんか!?ちなみに作者は見聞録の弐を読んで泣いてしまいました同じですね!(?)明日会う人に心配にされないようしっかり目元のケアをなさって下さい!!!お読み頂きありがとうございます! (2021年2月4日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 泣いてしまった!!実弥さんの愛の深さがたまりません! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - tauorgemさん» コメントありが…えええ?!お泣きになられた?!確かに、思いのすれ違いについては頑張って書いた記憶があり、それで心を揺らして頂いたなんてとても嬉し…いや!目を腫れさせてしまってはだめですね?!どうかおめめをしっかり冷して下さいませ!! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さらりとクマ | 作成日時:2020年10月3日 8時