望み通りに ページ37
馬鹿なことを言う宇髄にそう言い残し、俺は急いで屋敷へ戻った。
外はだいぶ寒かったため、黒城が具合悪くならねェように、俺の羽織をかけキツく抱きしめていた。
すると黒城は安心したかのように腕の中で寝息を立てて寝ていた。
両手がふさがってるため、乱暴に足で戸を開け、寝室へ向かう。
帰ってくるかもしれねェと思い予め敷いておいた布団に寝かせようとゆっくり黒城を下ろす。
その時だった。
「ん。」
頬に柔らかく温かい感触。
黒城が俺の頬に口付けしたことに気づくのにだいぶ時間がかかった。
「なッ?!」
驚き、黒城の顔を見る。
目を細め俺を見ている。
意識してやったのかコイツは…?
すると、黒城は俺の首に腕を回し、俺に抱きついてきた。
黒城の行動に驚き俺は固まる。
胸が当たってんだよお前。
正直俺の理性がやべェが、何としてでも耐える。
またモゾモゾ動いたと思ったら、
「ちゅッ」
!?
また頬に口付けてくる。
しかもちゅッで自分で声出して。
可愛すぎんだろォ。
コイツ酔うとこうなんのかよ。
「しなずがわさん…」
色っぽく俺を呼ぶ黒城に釘付けになる。
愛おしそうに俺を見ているのは気のせいか。
やめてくれ、これ以上はだめだァ。
すると、黒城は目をうるうるとさせ、話し始めた。
「前みたいに、沢山接吻してくれないんですか…?」
俺は耳を疑った。
あ?
接吻?
前みたいに?
沢山?
任務の時の話か?
だが、あれはフリで実際にした訳ではなかったはずだ。
沢山と言うほど長い時間やってた訳でもねェ。
考えたくもねェが、他の男との記憶とすり替えてるんじゃねェのか?
「おい、本当にそれは俺としたのかィ。」
「そうですよぉ!私はしなずがわさんとしか、接吻したことありませんからぁ。」
酒が回ってるせいか、いつもよりだらしなく喋る黒城。
俺としかしたことがねェというが、ありえねェ。
待てよ。
…おい、まさかあの時。
「あれは、夢じゃなかったのかよォ…」
お前あの時、何もされなかったと言ってたの嘘だったんだな。
夢の通りにやってたんなら、なんつーことしちまったんだよ俺はァ。
だが、酔ったお前がこうして俺にまたそうするよう求めてくるってことは…
「また、名前呼んで、沢山ちゅーしてください…」
顔赤らめ、恥ずかしそうに接吻しろとせがむ黒城。
いつも真面目でしっかりしてる時との違いにゾクッとする。
生憎、俺もまあまあ酒が入ってんだ。
「…お望み通りにしてやらァ、A。」
530人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆみ - わたしもさねみさんもくまさんも凪子さんのこと見守てるから (2022年4月25日 23時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 泣いてくれてありがとう凪子さんわたしもだいすきなさねみさんとここで恋仲になれてうれしいもん (2022年4月25日 23時) (レス) @page47 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 凪子さん» え?!あ?!泣かれましたか?!お目目腫れてませんか!?ちなみに作者は見聞録の弐を読んで泣いてしまいました同じですね!(?)明日会う人に心配にされないようしっかり目元のケアをなさって下さい!!!お読み頂きありがとうございます! (2021年2月4日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 泣いてしまった!!実弥さんの愛の深さがたまりません! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - tauorgemさん» コメントありが…えええ?!お泣きになられた?!確かに、思いのすれ違いについては頑張って書いた記憶があり、それで心を揺らして頂いたなんてとても嬉し…いや!目を腫れさせてしまってはだめですね?!どうかおめめをしっかり冷して下さいませ!! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さらりとクマ | 作成日時:2020年10月3日 8時