よかった ページ4
「ん…」
空気が冷たい。もう冬か。
ここは…どこ?
窓の外を見ると、洗濯物を干すアオイちゃんの姿。
あぁ、蝶屋敷か。
すると、
ガチャッ
誰かが入ってきた。
「Aさん!!」
大きく目を見開くしのぶちゃん。
私の所へ駆け寄る。
「しのぶちゃん、私…」
「貴方は2日間寝ていました。肩と、背中、脇腹を怪我していて、脇腹が特に重傷で止血していなければ危ない状態でした。内臓も少し傷ついていましたよ。」
お水を飲んでください、と管を口元に当てられ、私はそれを加え水を吸い上げる。
通りでこんなに体が重く感じる訳か…。
そうだ、下弦落ちの鬼と戦ってかなりやられてしまったんだった。
今までこんな怪我した事がない。
これまでにも下弦落ちの鬼を退治してきたのに…。
柱として不甲斐ない。
「Aさん?大丈夫ですか?」
「しのぶちゃん、私、本当に柱でいいのかなあ。」
「何を言っているんですか、貴方がいなければ、今回の任務達成できませんでしたよ。」
「こんな怪我をして…私、弱すぎる…」
「お前は弱くねェ。自信をもてェ。」
しのぶちゃんの後ろから男の人の声。
不死川さんだ。
不死川さんが私の所へ近づく。
「お前は重傷を負いながらちゃんと鬼の首を斬った。あん時お前に斬らせたのはお前なら出来ると信じたからだ。
仲間の信用に応え、十二鬼月に近い鬼を葬ることができたのは、お前が強いといえる証拠だ。
お前が弱いと言うなら、俺は仲間が危機に瀕しているのに何もできなかったゴミだ。」
「それは違います!!そんなこと…」
私が話そうとすると、とにかく、と不死川さんが話を続ける。
「お前はよくやったんだ。
戦歴がまだ浅いから初めて重傷負って衝撃だったんだろォ。これから幾度となく命をかけて戦う訳だから、それくらい当たり前なんだ。1度重傷負ったくれェで自信無くすんじゃねェ。」
乱暴な言葉遣いとは裏腹に、不死川さんは優しい目で私を見つめ、頭を撫でる。
「そうですよ、Aさん。
貴方の強さは鬼殺隊の誇りです。」
「…ッ!ありがとうございます…!」
2人に励まされ、心が落ち着いた。
周りに必要とされている。
鬼殺隊にいて良かったと心から思えた瞬間だった。
しのぶちゃんが他の患者さんの診察で部屋を出た。
部屋には私と不死川さんの2人だけになった。
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ゆみ - わたしもさねみさんもくまさんも凪子さんのこと見守てるから (2022年4月25日 23時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 泣いてくれてありがとう凪子さんわたしもだいすきなさねみさんとここで恋仲になれてうれしいもん (2022年4月25日 23時) (レス) @page47 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 凪子さん» え?!あ?!泣かれましたか?!お目目腫れてませんか!?ちなみに作者は見聞録の弐を読んで泣いてしまいました同じですね!(?)明日会う人に心配にされないようしっかり目元のケアをなさって下さい!!!お読み頂きありがとうございます! (2021年2月4日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 泣いてしまった!!実弥さんの愛の深さがたまりません! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - tauorgemさん» コメントありが…えええ?!お泣きになられた?!確かに、思いのすれ違いについては頑張って書いた記憶があり、それで心を揺らして頂いたなんてとても嬉し…いや!目を腫れさせてしまってはだめですね?!どうかおめめをしっかり冷して下さいませ!! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さらりとクマ | 作成日時:2020年10月3日 8時