自業自得 ページ27
とにかく強引に黒城を病室から連れ出した。
「不死川さん…っ、い、痛いです。」
パッ
「わりィ。」
つい黒城の手を掴む力が強くなっていた。
「すみません、手伝いって何ですか?」
あれは嘘だ。
ただお前を連れ出したくなっただけだ。
「家主の胡蝶なら分かるが、何で柱のお前が階級の低い隊士に訓練つけてんだァ。」
俺の中のドロドロとした感情のせいで、まともな言葉が紡ぎ出せない。
「柱は基本一般隊士に直接手解きをしない事は存じてますが、あの子たちにお願いされ、私も体力づくりにもなるので時間がある時こうして来てました。一般隊士への訓練や稽古が禁じられているわけではありませんよね…?」
俺と甘味処に行ったり手合わせしたり話していた時間を、こうやって他の男どもと楽しそうに過ごすのに使ってると思うと気に食わねェ。
誘わないようにしたのは俺だが、俺だってお前に誘われれば甘味処だって手合わせだって行ってやるし話したいと思ってんだァ。
だが、俺はこんなことを黒城に言えるわけがない。
「ハッ、柱も落ちぶれたもんだな。癸相手に体力づくりだァ?笑わせんな。下弦の鬼を余裕でぶっ倒してたのは嘘だったのかィ。」
黒城は固まった。
俺の言葉にショックを受けたようだ。
なんで俺もこんなきつい態度とって、傷つけるようなこと言ってしまうんだァ。
すると、黒城は震えながら話し出した。
「柱として私が相応しくない認めます。
ですが、確かに今彼らは癸ですが、将来有望な才能を感じます。彼らは強いんです。
そんな彼らに関わり、成長を見届けたいと思うことはいけないことでしょうか。」
いいや、お前は柱として完璧だ。
だが
「気に食わねェ。」
アイツらを庇うような言い方が物凄く癪に障る。
俺がそう言うと、
「こんな柱ですみませんでした。お手伝いをして欲しいとのことでしたが、出来そうにないので、このまま任務へ向かいます。御無礼お許し下さい。」
黒城は下を向いたまま淡々と喋り、そそくさと行ってしまった。
あァ。
結局、側に居たくても俺は大事にしたいヤツを突き放してしまう。
くだらない嫉妬で、理不尽にお前にきつい態度とってしまうなんて、情けねェよなァ。
もうこれでお前は俺に寄り付きもしねェし、俺もお前に近づけねェな。
自業自得だ。
このままこの心臓を脈打つような感情も忘れてしまおう。
黒城の後ろ姿が見えなくなってから、俺も後に続き、重い足取りで任務へ向かった。
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ゆみ - わたしもさねみさんもくまさんも凪子さんのこと見守てるから (2022年4月25日 23時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 泣いてくれてありがとう凪子さんわたしもだいすきなさねみさんとここで恋仲になれてうれしいもん (2022年4月25日 23時) (レス) @page47 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 凪子さん» え?!あ?!泣かれましたか?!お目目腫れてませんか!?ちなみに作者は見聞録の弐を読んで泣いてしまいました同じですね!(?)明日会う人に心配にされないようしっかり目元のケアをなさって下さい!!!お読み頂きありがとうございます! (2021年2月4日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 泣いてしまった!!実弥さんの愛の深さがたまりません! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - tauorgemさん» コメントありが…えええ?!お泣きになられた?!確かに、思いのすれ違いについては頑張って書いた記憶があり、それで心を揺らして頂いたなんてとても嬉し…いや!目を腫れさせてしまってはだめですね?!どうかおめめをしっかり冷して下さいませ!! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さらりとクマ | 作成日時:2020年10月3日 8時