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妙なこと ページ3

透明になった鬼は高速移動で黒城に接近した。鋭く細長く変形させた鬼の手が、黒城の脇腹に突き刺さり貫通した。
鬼は木の枝の上に乗り、手を突き刺したまま黒城を肩に担いだ。

俺は鬼が上った木の根元の近くまで駆け寄る。

「そいつを離せェ!!」

「離そうか?今離せばこいつは転落死。手を抜けば多量出血でどちらにせよ死ぬ。
私の首を斬るなら斬れ。だが、首のすぐ横にはこの子の胴があるぞ。ふふふ。」


「ふざけやがってェ!!」


黒城は意識はあるものの声を発さず耐え難いであろう痛みに顔を歪めている。
黒城は顔を俺に向け、「斬って」と口パクをするが今の状況で首は斬れねェ。


クソが、こうなったらやるしかねェ。

「黒城!刀を強く握れ!」

黒城は俺を見続け俺の言葉の意味を理解しようとしている。


ザシュッ

ポタッ、ポタッ、ボタタッ


黒城が何かを顔で訴えているが気にしない。


すると

ヨロッ

「・・・なんだ、この匂いは…ま、マレ、チ、稀血なのか…?!」


ハァ、ハァ、と息切れをし意識が朦朧とし始める鬼


黒城を担いでる鬼の腕が僅かに緩んだのを俺は見逃さなかった。


「黒城!やれェ!!」

黒城は鬼の手を引き抜き、距離をとって枝の上で体制を整えた。



ズシンッッ



いつもよりも遥かに空気が重たくビリビリする
黒城の顔つきがまるで違う。


『闇の呼吸 捌の型 閻魔(えんま)の制裁』


ザァンッ!!


「うぐああああああああああ?!!!」


鬼は地面へ崩れながら落下した。


黒城は上から自力で降りてきたが、
力を使い切り立てなくなったため俺が抱き止める。

鬼は今まで見たことがない程もがき苦しんでいた。

そして、妙なことを言い残した。

「グッ、分かったぞ、その女…!!あの方を追い込んだ男の子孫だな…?!
なぜ子孫がまだ生き残っているのだ…!!
お前はいずれあの方に殺される!覚悟しろお…!」

「とっとと散れェ。」

そう言うとしばらく黙ったかと思えば、鬼の目の色が変わった。

「こはるさん…」

そのまま、最後まで苦しみ跡形もなく消えた。
人間の時に愛していた女の名か…。


場所が元の空き家に戻った。
ひんやりと冷たい夜明け前。


「不死川さん…」

腕の中で力なく俺を呼ぶ黒城。

「喋るな。止血に集中しろ。
抑えきらない分は俺が圧迫してやる。隠がくるまで待てェ。」


そう言うと涙を流しながら目を閉じる黒城。


俺は隠が来るまで、俺より一回り小さい黒城を一瞬も離さず抱きしめ温めた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 風柱   
作品ジャンル:アニメ
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ゆみ - わたしもさねみさんもくまさんも凪子さんのこと見守てるから (2022年4月25日 23時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 泣いてくれてありがとう凪子さんわたしもだいすきなさねみさんとここで恋仲になれてうれしいもん (2022年4月25日 23時) (レス) @page47 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 凪子さん» え?!あ?!泣かれましたか?!お目目腫れてませんか!?ちなみに作者は見聞録の弐を読んで泣いてしまいました同じですね!(?)明日会う人に心配にされないようしっかり目元のケアをなさって下さい!!!お読み頂きありがとうございます! (2021年2月4日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 泣いてしまった!!実弥さんの愛の深さがたまりません! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - tauorgemさん» コメントありが…えええ?!お泣きになられた?!確かに、思いのすれ違いについては頑張って書いた記憶があり、それで心を揺らして頂いたなんてとても嬉し…いや!目を腫れさせてしまってはだめですね?!どうかおめめをしっかり冷して下さいませ!! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さらりとクマ | 作成日時:2020年10月3日 8時

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