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〈第三話〉 ページ5

私は思わず、その綺麗な瞳に目を奪われて固まってしまっていた。

ハッと気が付き、返事を返す。

「…っあ、えっと…。私、Aというんだけど、ちょっと探検してて…」

男の子は目をぱちくりさせると、フワッと微笑んだ。

「そーなんだ。僕、ここに住んでるんだ」

住んでる…?
入院じゃなく…?

でも、男の子は患者用の服を着ていたし、ドアにも名前がついていた…。

「あの、住んでるって…?」

「…。ここの花、綺麗でしょ?花瓶の。看護師さんが入れてくれたんだ」

「えっ、花?」

話を、そらした?
それにしてはニコニコしてるし、…

話が、噛み合ってない?

喋り続ける男の子の元を離れ、そっと廊下に出た。
周りを見渡すと、壁から突き出た板に、

『精神科』

と、書いてあった。

「精神、科…」

つまりあの子は、心の病気?
住んでるって言うくらい、長くここに居るの?
誰もいない、広すぎる病室で。
そんなの……

「辛いよね」

「…っえ!」

振り返ると、いつのまにか母と父が立っていた。

「いやー、ごめんねA!道路が混んでてさー」

「…ってか母さん、なんでここに?」

「えぇ?此処に呼んだのは私でしょう?」

まあ、そうだけど!

「母さん、Aが聞いているのは、何故私達がこの病室の前に来たか、だろう」

「そーだよ、父さん。なんでなの?」


「その様子だと、この中に居る少年と話したのかな。私達はあの子を、養子に引き入れたいんだ」

「…なんでっ?!」

養子?
私の、姉弟になるということ?
どうして、突然…


「…彼の心が治るまでだ。彼の家族は亡くなっていて、身寄りがない。彼の父にはいつもよくしてもらっていた。それに、同い年の子供と触れあった方が、早く傷も癒えるだろう」

「私達が決めることはできないわ。A。貴女は、どうしたい?嫌というなら、勿論大丈夫」

普通、話が噛み合わない姉弟など要らないと思うだろう。
ましてや、血の繋がっていない姉弟など。
だけど…



私は、親に似て変わり者だから。


「いいよ!!あの子は今日から、私の弟だから!」

「…ありがとう、A」


その選択が、大きな事件、私の人生まで変えることになるなんて、


私はまだ知らない。

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作者名:桜吹雪 | 作成日時:2016年4月3日 13時

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