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ar side
Kingと戦い始めた伊野ちゃんと薮ちゃんは、目で追うのが難しいほど動きが早かった。
しかし、Kingも負けず劣らずで勝負はほぼ互角。
2対3で互角なのだから力の差は圧倒的なのだけど。
くそ、もう1人誰かいれば...!
でも、その心配はいらなかった。
伊野ちゃんの殴る速さが上がっている。
しかも。
『あははっ!楽しいねえ!?久しぶりにこんなに楽しいよ!!』
笑いながら殴っては、立ち上がる間も与えず蹴って、殴って。
伊野ちゃんこれ...殺しちゃう...!
『ふふ、見て見て〜!』
もう起き上がる気力のないリーダーらしき奴に、伊野ちゃんは馬乗りになった。
その手にはいつものように、当たり前のように、ナイフ。
しかし、それは思い切り刺すのではなくて。
『お手手貸してごらん?』
言いながら伊野ちゃんはそいつの人差し指と中指の間にナイフの刃を置いた。
そいつの顔が一気に強ばる。
『はぁ...は...っやめ...っやめろ...っ』
『えー?...やーだっ』
その瞬間、伊野ちゃんが一気にナイフを後ろに引いた。
その場に血飛沫が上がって。
リーダーらしき奴の手が真っ赤に染まり、そいつは苦悶の表情を浮かべて叫んだ。
『今のが、裕翔の分ね』
そう言って伊野ちゃんは楽しそうに笑った。
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作者名:志乃 x他1人 | 作成日時:2019年7月1日 11時