本気.29［マギ］ (ページ7)

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第252夜王の器の再開ページ7

「…………」

「…………」

…迷宮「ベリアル」で、白龍と白瑛が初め座っていたところと同じ場所に、白龍、アリババ、Aは向かい合い座っていた。

……だが、なぜかAと白龍は、別に広くもないのに同じ椅子に並んで座っている。確かに横長な椅子だけど……

アリババもよく分からないという顔をしている。Aと隣の白龍をじーーーーーっと遠慮なく見つめているのに、彼はただ前のアリババだけを見ている。

『A殿は、俺の隣に座っていただいてよろしいですか？』

『……えっ!?いや、流石にそれは』

『…………いいよ、座る。』

『えっ!?』

(白龍に…「アルマトランの話をする！」って息巻いて来たけど…あっさり叶っちまったなぁ…？)

『人払いを。この者らは俺の旧知の者たちだ。アリババ殿も二人だけの方が話がしやすいでしょう？さあ、こちらへどうぞ。』

『じゃ、チビは俺と留守番だ！』

『えっ！』

『？私は、どこで待っていればいいの？』

『……Aさんは、特別に部屋を用意しておいたので、そこで待っていていただけますか？』

『！それはダメだ！こいつも連れていく。連れていかせてくれ。』

『……ふっ、そういうと思いましたよ。はい、2人で着いてきてください。』

「…………」

(とにかく、話をしねーと！)

ガタッ

「あのよ、白龍!!話があって来たんだ。」

「そうでしょう。どうぞ。」

「その…おまえさ……背、伸びたよな！」

「ぶふっ」

「……はぁ？」

白龍は目をまん丸くして、Aは色んな難しいことを考えていたはずなのに、能天気すぎる言葉につい吹き出してしまった。

「ほら、「ザガン」の頃よりずいぶん…おまえ、生意気なやつだな！」

アリババに自然と寄せられるまま彼の隣に立った白龍は、手で身長を比べられる。

そして椅子に座ったまま口を押え俯くAを見た。

「な!?Aも、そう思うよな!?」

「…………うん、そうかも。」

「!!」

白龍は顔を上げたAを見て目を見張った。それは気づかれなかったが、静かに俯いた。

彼女はてっきり、アリババよりもずっと考え悩んでいる最中だと白龍は考えていたが、そんな彼女もアリババの言葉につい吹き出し、口を抑えて笑いをこらえていたかと思えば、今顔を上げて、眉を下げて、あんなに困ったような面白いような笑顔を浮かべている。

久しぶりに見たその笑顔。やはり変わらなかった。どんなに大人びていても、どこかあどけない笑顔だけは。